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海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線

医者は薄給で副業と“稼げる処置”に関心
看護師・物資も枯渇するミャンマー医療現場

杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]
【第7回】 2013年10月31日
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 ミャンマーの経済改革が進み、海外からの資金が多く流入してくるなかで、いまだ国内最大の課題の一つとして挙げられる分野に医療がある。

 現地における医療制度は未成熟で、特に山間部等の地方では満足な医療を受けられない人も多い。地方のみならず、ヤンゴンなどの都市部においても、病院の医療水準はとても充実しているとは言い難く、現地駐在員は、今でも大きな病気になるとバンコクに行くことが多い。一方で、そのような状況は、企業の進出の観点からは、現地で大きく貢献する余地があることも意味する。

 はたして、そもそも現在のミャンマーの医療関連の状況はどのようになっているのだろうか。また、その改善に向けて、政府はどのような体制で取り組んでいるのだろうか。今回は、ミャンマー医療の概況についてご説明する。

医療機器も設備も古い
経済改革の恩恵は来ず

 まず、ミャンマーの医療機関の最前線の様子を紹介しよう。

 ヤンゴンのなかでも比較的施設が整っていると言われるShwe Gon Dine病院。一歩中に入ると、待合室は患者でいっぱいだ。せわしなく動き回る看護師たち。建物もそうだが、医療機器や設備も、古いものを大事に使ってきたことがわかる。

Shwe Gon Dine病院待合室風景
Photo:アジア戦略アドバイザリー

 案内してくれた看護師に、現場で働いていて大変なことは何かと聞いてみた。

 「とにかく看護師の数が少ないことです。患者の数と比較して、まだまだ全然足りません。ミャンマーの医療機関では、足りないものがいっぱいあります。また、できればより品質の良い日本製の医療機器を使えればと思っています」

 また、病院幹部は医療の現状をこう話す。

 「ミャンマーでは色々な改革が始まったが、まだその恩恵は医療現場までは来ていない。政府予算が限られている中では、どうしても後回しになってしまう。日本製の医療機器は、非常に優れていてミャンマーでも人気だ。出来ればうちが、ミャンマーでの代理店になりたい。日本企業側にその意向を伝えることは出来るか?」

 インタビューの場で筆者にこんなビジネスのネタを振ってくるほど、現場でのビジネスマインドは強いということか。

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杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]

すぎた こういち/カリフォルニア大学サンタバーバラ校物理学及び生物学部卒。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)経済学修士課程卒。15年間にわたり複数の外資系投資銀行にて、海外進出戦略立案サポートや、M&Aアドバイザリーをはじめとするコーポレートファイナンス業務に携わる。2000年から2009年まで、UBS証券会社投資銀行本部M&Aアドバイザリーチームに在籍し、数多くのM&A案件においてアドバイザーを務める。また、2009年から2012年まで、米系投資銀行のフーリハン・ローキーにて、在日副代表を務める傍ら東南アジアにおけるM&Aアドバイザリー業務に従事。2012年に、東南アジアでのM&Aアドバイザリー及び業界調査を主要業務とする株式会社アジア戦略アドバイザリーを創業。よりリスク度の高い東南アジア案件において、質の高いアドバイザリーサービスの提供を目指してASEAN各国での案件を遂行中。特に、現地の主要財閥との直接の関係を生かし、日系企業と現地企業間の資本・業務提携をサポートしている。ミャンマーにおいては、大手事業会社、総合商社、金融機関等の進出戦略立案及びその実行サポートに携わる一方で、2012年よりダイヤモンド・オンライン(Diamond Online)にて、3年間にわたり人気コラム『ミャンマー その投資ブームは本物か』『海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線』を連載。


海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線

民主化へ舵を切り、欧米の経済制裁が解除されたことで、世界中の企業の耳目が集まるミャンマー市場。具体的な民主化政策の実行からわずか1年で、会社法や外国投資法など進出する企業にとって重要な法律が施行され、市場として環境が整い始めた。本連載では、企業進出の現場から何が具体的な問題点なのか、またそれを乗り越えるようどのような努力が現在なされているのかについて見ていきたい。「ミャンマー その投資ブームは本物か」に続く、連載第2弾。綿密な現地取材をもとに、ミャンマービジネスの最前線を追う。

「海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線」

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