経営×ソーシャル
バリュークリエイターたちの戦略論
【第2回】 2013年11月1日
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荒木博行 [グロービス経営大学院 教授、株式会社グロービス ディレクター]

新連載「バリュークリエイターたちの戦略論」
――アフリカに蚊帳を届ける(後編)

アフリカ・タンザニアで防虫蚊帳のビジネスを立ち上げ、マラリア予防や現地経済の活性化に貢献した水野達男氏。「アメリカの農家に1週間泊まりたい」「ゴキブリコンテストをやろう」など、破天荒なプランで確実に成果を作ってきた若い頃から芯に置いていたのは「他人の価値観ではなく、自分が面白いと思えること」を大切にする信念だった――。孤高さすら感じさせるユニークネスと、多くの者の共感を呼び揺り動かすビジョン。一見、相矛盾する要素を兼ね備え、圧倒的な価値を生み出す“バリュークリエイター”の実像と戦略思考に迫る新連載、第1回・後編。(企画構成:荒木博行、文:治部れんげ アフリカに蚊帳を届ける〈前編はこちら

「はじめに言葉ではなくビジネスありき。
それが本当のグローバル人」

アフリカの蚊の研究所「MOSQUITO HOTEL」

 住友化学の事業部長として、アフリカ・タンザニアで防虫蚊帳を製造・販売、マラリア予防や現地経済の活性化に貢献した水野達男。困難なアフリカでのビジネスを成功に導き、年間3000万張の蚊帳を現地生産し、7000人の雇用を生み出した。

 日本企業の技術的な強みを最大限に生かした製品で海外市場に打って出た上、事業を現地化した。まさに今、引く手あまた「グローバル人材」を地で行く水野の人物像とキャリア形成の軌跡を見ていこう。

Arusha工場を訪れたブッシュ元大統領と

前編でも触れたように、住友化学に入社するまで、水野は外資系企業のビジネスマンだった。1979年に北海道大学農学部を卒業した後、20年余、米系化学メーカーでキャリアを積んできたのだ。

 住友化学に入社間もない米州担当の頃、水野は風変わりな出張届を出したことがある。出張目的は「アメリカの農家に1週間泊まりたい」というもので、現地では特に商談も会議も予定していなかった。水野がかつて属していた会社が、米国大豆市場で当時急成長しており、米国の農家は他社製品からこの会社の製品に、次々に乗り換えていた。

荒木博行 [グロービス経営大学院 教授、株式会社グロービス ディレクター]

慶応義塾大学法学部卒業、スイスIMD BOTコース修了。住友商事株式会社を経て、グロービスに加わり、法人向けコンサルティング業務に従事。現在は、グロービス経営大学院及びグロービス・マネジメント・スクールにて企画・運営業務・研究等を行なう傍ら、グロービス経営大学院及び企業研修における戦略系、および思考系科目の教鞭を執る。著書に『ストーリーで学ぶ戦略思考入門――仕事にすぐ活かせる10のフレームワーク』、執筆ケースに「住友化学のオリセットネット事業」。

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バリュークリエイターたちの戦略論

孤高さすら感じさせるユニークネスと、多くの者の共感を呼び揺り動かすビジョン。一見、相矛盾する要素を兼ね備え、圧倒的な価値を生み出す“バリュークリエイター”の実像と戦略思考に迫る連載。

「バリュークリエイターたちの戦略論」

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