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アフリカ、経済成長の光と影

毎日1万人以上が感染症で死んでいく
先進国からの支援はまだまだ必要です
——國井修・世界基金戦略投資効果局長インタビュー

ダイヤモンド・オンライン編集部
【第9回】 2013年11月6日
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三大感染症(HIV/エイズ、結核、マラリア)対策基金として2002年に設立された世界基金(グローバル・ファンド)。途上国の三疾病対策のために資金を拠出する機関で、各国の政府や民間財団、企業からの拠出金によって成り立っている。2000年のG8九州沖縄サミットで、感染症対策を主要議題として取り上げたことが設立のきっかけとなったことから、日本は世界基金の“生みの親”とも言われる。その世界基金の戦略投資効果局長として活躍する國井修氏に、世界の感染症の現状と課題、日本の政府や企業の求められる役割等について話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

政治や経済、社会問題と
密接に関係する三大感染症

くにい・おさむ
世界エイズ・結核・マラリア対策基金 戦略投資効果局長。1988年自治医科大学卒。医師、公衆衛生学修士、医学博士。内科医として大学病院等で勤務後、僻地医療に従事。また緊急医療のNGOであるAMDAの副代表として、難民への医療援助に従事。ハーバード大学公衆衛生大学院留学、自治医科大学衛生学助手などを歴任。2001~2004年、外務省調査計画課に勤務(課長補佐)。この間、世界エイズ・結核・マラリア対策基金の設立にも関与した。2004年より長崎大学熱帯医学研究所教授、2006年より国連児童基金(ユニセフ)に勤務し、本部にて保健戦略上級アドバイザー、ミャンマー事務所保健・栄養チーフ、ソマリア事務所保健・栄養・水衛生支援事業部長等を歴任した。2013年3月より現職。Photo:DOL

――世界基金(The Global Fund:ザ・グローバル・ファンド)は設立された2002年から一貫して三大感染症(HIV/エイズ、マラリア、結核)の撲滅に取り組んでいます。しかし、アフリカをはじめ東南アジア、南アフリカなど、感染が拡大していると聞きます。現状をどのように分析しているのでしょうか。

 三大感染症は1990年から爆発的に流行しました。これは単なる健康問題ではなく、経済や政治にも悪影響を及ぼす、非常に大きな脅威でした。放置していれば、国が破滅してしまうのではないかと思えるほどです。

 病気が流行すると人々は農作業などの仕事ができなくなります。そうした人が増えれば国の経済全体に大きな影響を与えます。そうすると、貧困の罠に嵌ってしまいます。アフリカではザンビアやマラウィは特に深刻でした。

 なかにはマラリアに1年で6回も罹る人もいました。熱が出て、体力が消耗してしまい、なかなか仕事に復帰できない。結核は完治するまでに長い期間治療が必要です。HIV/エイズについても、バタバタと20~30代の人たちが死んでいきました。当時を思い返すと、「バタバタと」という表現が本当に正しいと思います。残された子どもたちは孤児となって、貧困から逃れるのは非常に難しくなる。ひどい地域では、3人に1人がHIV/エイズに罹っていました。

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アフリカ、経済成長の光と影

いま、アフリカ大陸に世界の経済人たちの熱い視線が注がれている。本格的な経済成長へ向けて、政府間では数千億円規模の開発プロジェクトが次々と決定。企業もアフリカの市場として可能性に注目し、本格的に進出へ動き始めた。それはまるでアフリカ投資に関して遥か先を走る中国政府の動きに引っ張られているかのようで、前のめりな姿勢が目につく。しかし、冷静にアフリカ市場を見ていくと、いまだに貧困問題や感染症問題が未解決のまま残されており、市場の成長を阻害する要因となっているようだ。本連載ではアフリカ経済の成長性という光の部分と、未解決のまま残された社会問題という影の部分を取り上げる。

「アフリカ、経済成長の光と影」

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