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アフリカ、経済成長の光と影

「治療の技術は夢で神から教わった」
祈祷師も活躍するタンザニア結核治療最前線

【第7回】 2013年7月11日
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かつて日本では「国民病」「亡国病」などと恐れられていた結核。国をあげての予防や治療によって死亡率は劇的に下がり、蔓延していた当時の100分の1以下になったと言われている。しかし、世界の多くの国や地域ではまだまだ結核で苦しみ、亡くなる人は多い。アフリカ諸国もそうで、各国の健康・保健行政の課題のなかで、HIV/エイズ、マラリアと並ぶ重大な課題である。今回はタンザニアを例に、アフリカでの結核治療の現状と課題をレポートする。そこには急速な経済発展、都市化、人口増大という成長するアフリカ特有の課題があり、ゆえに医療体制はもちろん財源の確保が追いついていない現状が見えてきた。(取材・文/ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

「祈祷師サマータの
方を信頼している」

祈祷師のサマータ。手に持っているのは薬(木の枝)だ Photo:DOL

 タンザニアの中心都市、ダルエスサラームから車で数分のところにある、テメケ地域。住民の多くは貧困層で、上下水道や電気、ガスなどの都市インフラが整備されていないスラムで暮らす。

 その一角、外見は普通の家で、タンザニアの地域医療を支える医療従事者が、開業していた。その医療従事者とは、トラディショナル・ヒーラー。日本語で言えば、伝統的な祈祷師ということになる。

 処置室には靴を脱いで入る。広さは3畳ほどだ。電気どころか、机も椅子も空調もない。床も剥げかけたボロボロのマットが敷いてあるだけだ。外は30度を超す猛暑。中は蒸し風呂状態で、健康な大人でも暑さと埃でむせかえり、クラクラするほどだ。

 ヒーラーの名前は、サマータ。76歳だという。

 「いつからヒーラーをやっているか、それは忘れた。胃や胸、頭の痛みを治療できる」

 そう得意げに話すサマータ。テメケ地区はHIV/エイズや結核、マラリアなどの感染症に悩む患者も多い地区。果たしてこの人物が、最新の医療設備も何もないこの小さな部屋で病気を治療できるのだろうか。

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アフリカ、経済成長の光と影

いま、アフリカ大陸に世界の経済人たちの熱い視線が注がれている。本格的な経済成長へ向けて、政府間では数千億円規模の開発プロジェクトが次々と決定。企業もアフリカの市場として可能性に注目し、本格的に進出へ動き始めた。それはまるでアフリカ投資に関して遥か先を走る中国政府の動きに引っ張られているかのようで、前のめりな姿勢が目につく。しかし、冷静にアフリカ市場を見ていくと、いまだに貧困問題や感染症問題が未解決のまま残されており、市場の成長を阻害する要因となっているようだ。本連載ではアフリカ経済の成長性という光の部分と、未解決のまま残された社会問題という影の部分を取り上げる。

「アフリカ、経済成長の光と影」

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