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「ブラジルワールドカップによる動画広告市場の拡大に期待」――世界最大のスポーツ動画配信サービス、パフォームが狙う日本市場攻略

ダイヤモンド・オンライン編集部
【第29回】 2013年11月15日
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 そして「ウォッチ&ベット」の成功によって得た資金を投入して開発されたのが、「ePlayer」という自社開発のオンデマンドのビデオプレーヤーだ。ePlayer はWebサイトに埋め込まれ、アプリケーションをダウンロードする必要がない。ユーザーは、ブラウザだけで動画を再生することができ、動画が掲載されたページを開くと待つことなく自動的に再生が始まる。「スポーツは待たせるものじゃない」(スリッパー氏)というこだわりから、レスポンスを重視したプレーヤーの開発と高度な動画圧縮技術の採用にこだわっているのだ。グローバルな配信についても、アカマイ・テクノロジーズのコンテンツ配信システムを利用している。このePlayerの導入が、現在のパフォームの動画配信ビジネスの急成長を支えてきた。

 ePlayerは、国ごとに趣向の違うスポーツ市場に対応するため、ジオブロッキング(国別にコンテンツの表示を制限する機能)が強化されている。各国の主要なスポーツメディアサイトと提携し、サイト内に埋め込むことで、日々更新される新鮮なスポーツ関連ニュースや、試合ハイライトの映像などを配信するしくみだ。例えば、プレミアリーグの情報を求めてニュースサイトのサッカーページを訪れれば、そこではマンチェスター・ユナイテッドの最新試合のハイライト動画が流れているといった具合。動画のクオリティはPCの全画面表示にしても十分に耐えるものだ。

 11年の9月からePlayerのサービスを開始した日本でも、主要な新聞やスポーツ紙のWebサイト、サッカーや野球の専門サイトをはじめとして、すでに30以上の提携サイトでePlayerが採用されている。

 取り扱われるスポーツのジャンルは40超。サッカーであれば日本代表からJリーグ、欧州組の動向といった国内のニーズにマッチしたコンテンツを幅広く配信する。直近では、スポーツ専門テレビ局のJ SPORTSと提携し、契約会員向けにオンラインでプレミアリーグの全試合の映像が見られるオンデマンドのサービスも始めている。

 もちろんプロ野球、テニス、ゴルフといった日本で人気がある競技についてもコンテンツが拡充されている。パフォームでは、提携メディアに動画コンテンツを販売するほか、動画に広告を挿入することで、広告収益が上がるモデルとなっている。

スポーツ動画配信は“競合なし”の状態

 ePlayerは、配信する動画を強固なプロテクトによって保護でき、あらゆるWebサイトに容易に埋め込むことができる。しかし、技術的にはさほど特別なプレーヤーではない。「大切なのはコンテンツの質だ」とスリッパー氏は続ける。

 「このビジネスモデルに多くのメディアが賛同してくれた結果、今では世界中で1100を超えるパートナーと提携し、グローバルに動画コンテンツを制作・配信するネットワークが形成されています。我々の強みは、スポーツに関わる良質なコンテンツを世界規模で配信し続けられること。

 スポーツファンが求めるコンテンツとは、第1に“ライブ映像”であり、第2が“速報と豊富なニュース”、そして第3が“試合ハイライト”で、これは全世界共通のニーズです。ePlayerを使えば、例えば日本のサッカーファンに向けて、欧州リーグの最新情報を現地レベルで届けることもできる。こうしたビジネスモデルでは競合となる企業は、現在のところ存在しないと言っていいと思います」(同氏)

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