ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
職あれば食あり

「百貨店の閉店」とともに仕事開始!
ふつうの人が休んでいるときに働いている人の食事

まがぬまみえ
【第49回】 2013年11月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 世間には人が休んでいる間に働かなくてはいけない職業がある。その1つが、エスカレーター清掃である。

 「じつは、つい最近までエスカレーター清掃の専門業者って存在してなかったんです」

 イーメックス社長の熱田典彦さん(44歳)が語る。

 「保守・点検とは違うんですか?」

 「あれは別業者。掃除はしません」

 「よく、おばちゃんが雑巾で手すりを拭いていますよね、あれも掃除では?」

 「いやいや、あんなもんじゃ落ちませんから」

国内のエスカレーター数は6万8000台
意外な未開拓市場だったはずだが…

 言われてみれば、そうかもしれない。階段の埃は気にしても、エスカレーターの埃を気にしたことは、これまであまりなかったような気もする。

 「だいたいどこの商業施設でも、一番汚れているのは地下から3階くらいまで。人通りが多いこともありますが、外から持ち込んだゴミや埃が落ちてステップの溝に入り込む。それと機械油が混ざってこびり付くんです」

 当然のことながら、そこに靴裏の泥汚れもまじる。

 「だから、食品売場とか地下にありますけど、清掃に入るとけっこうびっくりしますよ」

 「つまり、需要はけっこうあるわけですか?」

 「あるけど、予算がない。これまで掃除しなくても済んできたので、その分の予算を確保してもらうまでが大変なんです」

 考えてみたら、こんな未開拓市場もないような気がしてきた。エスカレーター清掃、じつは意外な成長分野なのか?

 という訳で、日本エレベーター協会のホームページで改めてその台数を調べてみた。国内にあるエスカレーターの数は1970年頃から急速に増え、2013年3月現在、稼働しているのは約6万8000台(動く歩道含む)である。むろん、日本のみならず、中国などの新興国でもエスカレーターは増える一方。

 「これはいける!」

 と、熱田さんも思ったらしい。そこで、仲間とエスカレーター清掃専門の会社をおこしたのは2010年のこと。国内だけで、市場規模はざっと230億円と見積もっていた。

 が、しかし、だ。その矢先にあの巨大な東日本大震災が起きた。

 「それで、掃除に回るはずのお金が全部、震災対策に……」

 まとまりかけていた大口の案件もオジャン。世の中、そうそう皮算用通りにはいかないものである。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事


職あれば食あり

人は食べるために働くのか、それとも、働くから食べなければならなくなるのか。そんな素朴な疑問を解き明かすべく、さまざまな職業に従事する人々のランチと人生を追いかける。「職」と「食」の切っても切れない関係を解きほぐす、お仕事紹介ルポ。

「職あれば食あり」

⇒バックナンバー一覧