情報は分類・整理しても使えなければ意味がない。次々と新しい手法が紹介されるが、どれも複雑すぎて実践できる人はごくわずかだ。そんな中、誰でも今すぐできる情報整理法として50万人から支持された「ノート1冊方式」は、なぜ情報を活用することができるのか?その秘密と実践法を公開。
第1回では、複雑で杓子定規なシステム、面倒な分類・整理をやめて、1冊のノートだけを使い続ければ、誰でも簡単に知的生産ができるようになることを述べました。第2回では、「ノート1冊方式」の全体像を示した上で、どんな仕組みで、どんなふうに役に立つのか、大まかに説明していきます。
第1回で語った通り、このやり方は自由度が高いのも特徴です。全体の流れを見ておくことは、自分の仕事スタイルに合わせたアレンジを考える上でも、有益なはずです。
あらゆる情報をノートにためる
はじめにノートを使った知的生産の流れを手短に見ておきましょう。前半は、ひたすらノートに時系列で情報をためる段階です。まずは新しいノートに何かを書いたり、貼り付けることから始まります。
代表的な例を挙げれば、企画会議での印象的な発言をメモしておいたり、「次の会議では○○を提案しよう」とアイデアを書いたり、参考になりそうな新聞記事を切り抜いて貼っておいたり、といったことでしょう。
メモしたり貼っておくべき情報は、仕事に関わることだけとは限りませんが、現段階では「仕事に使えそうな情報をとっておく」という理解で大丈夫です。
これを何日か続けていると、次第にノートに情報がたまってきます。ページ数や大きさにもよりますが、数週間から数ヵ月すると情報量は増え、ノートはまるで本のようになっていきます。
そこで後半は、この「本のようなノート」をアイデアや発想の素材として活用するわけです。たとえば、ノートを前から順に読んでいくと、
1ヵ月前の会議の議事録
↓
2週間前の企画アイデア
↓
1週間前に切り抜いた新聞記事
↓
3日前に読んだ本の感想
↓
昨日会った人の名刺と会話のメモ
このような自分の生きた時間軸に沿って情報を見ていくことができるし、ノートを逆から読めば、ページをめくるたびにだんだん遠い過去の情報に出会えます。印や付箋を付けておけば「本の感想だけ」「企画のアイデアだけ」をまとめて見ていくこともできます。
「アイデアは組み合わせである」という言葉もあるように、一見、つながりのなさそうな情報を結びつけることで新しい視点や発想が生まれることはよくあります。
たとえば、ノートをめくっていろいろ見ているうちに、だいぶ前に読んだ、南米アマゾンの未開部族の暮らしについての本の感想を見つける。読み返しているうちに、「そうだ、『ビジネスにおける裸の付き合い』という切り口で、あの原稿を書こう」と、今抱えている仕事のアイデアを思いつく。このようなことは毎日のように起こります。
ノートにあるのは、どれも自分が「書いておきたい」と思った考えであり、自分の目で選んで残した記事や資料です。つまり、どれも「お気に入りの情報」なわけです。
つまらないものは一つもないから、自信を持って素材にすることができます。メモや資料など、なんでもそのまま収集し、読み返したり、加筆したりしながら温めて、新たな発想を得る手がかりにしていくことは、このノートに何でも入れる方法でしかできないでしょう。自分のノートは、世界に一つだけの「知的生産の素材」になるのです。