「ゆうパック」と「ペリカン便」の統合に暗雲が漂っている。9月11日、日本郵政グループの日本郵便は、10月1日に予定していた日本通運との宅配便事業統合の延期を直前になって発表した。従業員訓練や大口顧客の新サービスへの移行準備などが不十分で、総務大臣の認可を得るメドがつかなくなったためだ。今年四月の予定を延期したが、再延期となった。

 今回の延期で億円単位の損失が出ると見られる日通首脳陣は激怒していると伝えられ、現場では「白紙撤回やむなし」との声すらある。

 日本郵便と日通は経営統合のための受け皿会社「JPエクスプレス(JPEX)」を昨年設立している。すでに日本郵便からは管理職700人を含む7700人が出向しており、10月にはさらに3000人が出向予定だった。これをすべて取り消すのだから、日本郵便の人員体制は大混乱だ。

 さらに深刻なのは物流体制である。経営統合を前提にして、日本郵便は配送トラックや物流拠点などを貨物法制に基づいてJPEX名義に移管している。これを早急に日本郵便名義に戻さねばならないのだが、「どんなに早くても1ヵ月はかかるだろう」(日本郵便関係者)という。

 かたや日通も、JPEXへの業務移管を見越して、山間部や離島などの集配拠点370ヵ所を9月末に閉鎖する予定だが、これらの拠点に関しては日本郵便に委託せざるをえない。

 今回の統合延期で、歳暮、年賀状という年末繁忙を控えた日本郵便が大混乱に陥るのはほぼ確実である。当然、日通にもそのしわ寄せは及ぶだろう。

 民主党政権の郵政改革見直しも必至の情勢下にあって、ヤマト運輸、佐川急便に大きく水をあけられた「弱者連合」は、いまや連合結成自体が危ぶまれている。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 小出康成)

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