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「会計&ファイナンス」 一流の経営者はどう使う?
【第6回】 2013年12月13日
著者・コラム紹介バックナンバー
田中慎一 [企業財務コンサルタント/株式会社インテグリティ・パートナーズ代表取締役],保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]

上場後に苦しむくらいなら
上場準備を仕切り直す
株式会社アイスタイル取締役兼CFO・菅原敬 氏 (4)

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日本のレビューサイトの草分け的な存在である@cosme(アットコスメ)を運営する株式会社アイスタイル(以下、アイスタイル)。1999年にスタートした化粧品のレビューサイトは今や260万人の会員を抱える我が国有数のインターネットメディアに成長し、2012年には東証マザーズへの上場も果たし(その後、東証一部へ市場変更)、特定の業界に特化したインターネットメディアとして確固たる地位を築きつつある。ところが、順風満帆だったかのように見えるアイスタイルも創業当初からずっと苦難の連続だったという。今回は、同社CFO(最高財務責任者)である菅原敬氏に、どのように困難を乗り越えてきたのかについて話を聞くことを通じて、「CFOが備えるべきエッセンスは何か」というテーマについて迫った。

かつて上場をとりやめたのは、
その後に苦しむのが目に見えていたから

田中 かつて上場の準備がすべて整ってから、上場直前にやめるという大胆な決断をされていますが、どんな経営判断があったのでしょうか?

菅原 インターネット広告の経営環境が大きく変わったということですね。特に、SNS運営企業が上場してからは劇的に変わりました。

菅原 敬(すがわら けい)
英国国立ブリストル大学経営修士(MBA)修了後、1996年にアンダーセンコンサルティング(現・アクセンチュア)に入社。1999年にアイスタイル創業に参画。2000年にアーサー・D・リトル(ジャパン)に入社し、主にハイテク/通信企業に対する各種戦略立案のコンサルティング業務に携わる。2004年よりアイスタイル取締役就任。2011年よりアイスタイルCFO。

田中 上場取りやめの判断をされたのは何年の頃ですか?

菅原 2008年のときです。

保田 結果として、その経営判断は正しかった?

菅原 今ではそうだと確信しています。インターネット業界は変化が激しいので経営環境は常に変動します。長い上場準備期間で固定されてしまったエクイティストーリーのままで上場してしまったら、経営環境の変化についていけなくなるんですよ。
 当時、大手SNSの台頭に伴いインターネット広告市場は、単なる訪問数に応じた閲覧数(=Impression数)ベースとする純広告一辺倒から、訪問者数(MAU=Monthly
Active Users)をベースとするブランディング広告まで経済価値化の可能性が一気に拡大してきました。
 それなのに、上場準備中に提出済のエクイティストーリーにはその環境変化に対応した戦略が反映されていない。そうなると、上場したあとに苦しむことは目に見えていました。それであればと事業を再編しました。
 そして、それを乗り越えるために、ヤフーさん、講談社さん、メインバンクの三菱東京UFJ銀行さんから、合わせて6億円強の第三者割当を引き受けていただいたんですね。まぁ、それから2年続けて赤字を出したんですが(笑)。

田中 それが2009年、2010年くらいですか?

菅原 そうです。その後に上場という流れですね。

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田中慎一(たなか・しんいち) [企業財務コンサルタント/株式会社インテグリティ・パートナーズ代表取締役]

1972年生まれ。大学卒業後、監査法人太田昭和センチュリー(現あずさ監査法人)、大和証券SMBC、UBS証券などを経て独立。監査法人で上場企業の会計監査、IPO支援やデューデリジェンス業務、証券会社の投資銀行部門ではM&A、事業再生、資金調達に関するアドバイザリーサービスに従事。現在は、財務戦略に関するコンサルティングサービスを提供するほか、ベンチャー企業・中小オーナー企業の社外役員を務める。著書に『M&A時代 企業価値のホントの考え方』『投資事業組合とは何か』『あわせて学ぶ 会計&ファイナンス入門講座 』(いずれもダイヤモンド社)などがある。趣味は料理とトライアスロン。

保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]

1974年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師。リーマン・ブラザーズ証券(東京/ニューヨーク)、UBS証券東京支店で投資銀行業務に携わる。その後、起業、投資ファンド運用等を経て、10年より小樽商科大学大学院准教授、14年より昭和女子大学准教授、2015年9月より現職。雑誌、テレビや講演で金融・経済をわかりやすく解説する。著書は「あわせて学ぶ会計&ファイナンス入門講座」「実況LIVE 企業ファイナンス入門講座」(ともにダイヤモンド社)ほか多数。早大院商学研究科博士後期課程満期退学。
保田氏ブログ

 


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会計やファイナンスに関する知識の重要性は多くの人が主張しており、ここで改めて言うまでもありません。しかし、社長やCEO、CFOになるまでの人は、実際にどのように会計やファイナンスを使っているのか、あるいは勉強をしてきたのかは意外と知られていないものです。この連載では一般社員がなかなか知ることのない、経営者と会計&ファイナンスの関係性に迫ります。

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