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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

財政圧迫の張本人、古くて過剰な公共施設を甦らせよ
市役所と図書館を複合化した滝川市のマネジメント術

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第84回】 2013年12月17日
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役所・役場はその街の「顔」になる
市庁舎内に図書館を設けた滝川市の試み

 地方自治を取材テーマとしているので、これまで全国各地のたくさんの役所・役場にお邪魔した。取材地にある名所旧跡には目もくれず、真っ先に役所・役場を訪ねる。そんな無粋なことを重ねているうちに、すっかり庁舎ウォッチャーのようになってしまった。

 言わずもがなではあるが、地域で一番高くて大きい建物が役所・役場というのが、通例だ。また、その周辺が地域の中心地となっているのも、ごく一般的。お役所の仕事ぶりと同様、似たような庁舎が多い。それでも個性的な建物に出くわすこともある。

 たとえば、大牟田市や小樽市の庁舎だ。昭和初期に建てられた重厚な建造物で、かつての地域の繁栄ぶりを偲ばせる。ラブホテル風の外観に驚かされたのが、倉敷市役所。内に入ってみたらごく普通の役所だったが、その斬新な意匠には驚かされた。

 財政の困窮ぶりが庁舎に如実に表れていたのが、守口市だ。老朽化が著しく、痛々しい姿となっている。内部は節電も加わり、昼なお薄暗い。廃屋と見紛う建物は、くすんだ雰囲気すら漂わせている。

 その対極にあるのが、東京都庁だ。贅を尽くして建造された巨大庁舎は、都民を睥睨するかのように屹立している。その異形な姿は、伏魔殿と揶揄される都政をイメージしたかのようだ。

 また、質素な庁舎が無駄をとことん削る財政運営の象徴になっているような自治体もある。代表的な事例が、福島県矢祭町だ。木造2階建ての町役場は、まるで小さな校舎のような趣である。

 役所・役場は地域の顔であり、その姿かたちから様々なものをうかがい知ることができる。つまり、単なるハコモノではないのである。

 先日、北海道滝川市(人口約4万2000人)の市役所を訪ねてみた。JR滝川駅から雪道を15分ほど歩くと、11階建ての大きなビルが現れた。滝川市役所だ。中に入ると、左手に喫茶スペ―スが広がり、右側は市民課と福祉課など。人の出入りが多く、活気が感じられる。正面のらせん階段を上って2階に進むと、雰囲気がガラリと一変。目の前に市立図書館が出現した。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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