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野口悠紀雄 期待バブルが幻滅に変わるとき

日銀短観は、経済好循環を示していない
――DIという指標が独り歩きする

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第6回】 2013年12月26日
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 全国企業短期経済観測調査(日銀短観)によると、全産業・全規模合計の業況判断指数(DI)は、2013年6月のマイナス2から、9月には2に改善し、さらに12月には8に改善した。

 とりわけ注目されたのは、これまでマイナスであった中小企業(全産業)のDIが3と、プラスになったことだ。また、製造業・大企業の景況感が4四半期(12カ月)連続で改善し、6年ぶりの高水準となった。

 以上の傾向は、景気回復が経済全体に及びつつあることの表れであると、一般に解釈されている。しかし、詳細に見ると、以下に述べるように、そうは言えない面が多い。

DIはGDP成長率より為替レートと相関

 DIの推移を見ると、図表1(2010年以降)および図表2(2001年以降)のとおりだ(14年3月は予測値である)。

 図表1を見ると、確かに13年以降の上昇が顕著だ。

 図表2でいま少し長期間を見ると、リーマンショックで大きく下落したDIは、10年以降、上昇してきたことがわかる。2001年以降を見ると、円レートと強い相関にある。円安になると輸出産業の利益が増えて、景況感がプラスになるのだ。

 しかし、図表2からわかるとおり、実質GDPの成長率とは、相関している場合としていない場合がある。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 期待バブルが幻滅に変わるとき

アベノミクスの本質は、株価や為替レートなど資産価格のバブルを利用して、経済が好転しているような錯覚を人々に与えるものだ。人々の将来への「期待」を高め、それを実体経済の改善につなげようとする。たしかに、株価は上がり、輸出企業の利益は増えているが、賃金や設備投資に回復の兆しは見られない。果たして、人々の「期待」は実現するのか、それとも「幻滅」に変わるのだろうか?

「野口悠紀雄 期待バブルが幻滅に変わるとき」

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