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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

解体すすまぬごみ焼却施設に悲鳴を上げる和歌山市
将来世代にツケ回される「立ち枯れ公共施設」の惨状

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第85回】 2014年1月7日
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人口減で「立ち枯れ公共施設」が急増
野ざらしのごみ焼却施設は300ヵ所以上

 人口減などに起因する様々な想定外の現象が、日本社会を覆うようになった。たとえば、荒れるに任せたままの人家の存在だ。

 中山間地域に増え続ける限界集落内に止まらず、今や大都市部にまで大量の廃屋が生まれている。空き家対策は全国共通の課題の1つになっていると言ってよい。

 だが、使われぬまま放置される建物はなにも民家に限らない。人口減と少子高齢化が加速する日本社会では、立ち枯れしたままの公共施設も増えつつある。綱渡りの財政運営を続けている自治体が、解体に要する経費の持ち出しを嫌い、取り壊しを先送りしがちなことも影響している。

 不要となったまま解体されず、野ざらし状態となっている公共施設の中で目立つのが、ごみ焼却施設だ。環境省の調査によると、その数は全国で322ヵ所(2011年度末時点)に上る。

 2005年12月時点では612もあったので、半分近く減少したが、それでも驚きの数値である。ちなみに、現在稼働中のごみ焼却施設は1211ヵ所(2011年度末時点)となっている。

 廃止されながら未解体となっているごみ焼却施設が多いのには、施設特有の事情が考えられる。2002年にダイオキシンなどの排出規制が強化され、適合できない旧式のごみ焼却場の休炉が全国で相次いだ。

 通常、公共施設の解体撤去費は建設費の20分の1ほどで済むと言われているが、ごみ焼却施設の解体・撤去にはダイオキシン対策などが不可欠。作業に細心の注意と時間、そして、何よりも多額の経費を要する。

 「解体したくても(財政事情により)できない市町村は多い。負担が大きく、本来国が解体費を補助すべきだと思います」

 こう語るのは、和歌山市一般廃棄物課の担当者。ごみ焼却施設の解体に苦慮し続けている自治体の1つである。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


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国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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