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【第34回】 2014年1月9日
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鎌塚正良 [ダイヤモンド社論説委員]

新型インフルエンザ大流行時の被害を描く
シミュレーション・ストーリー
『H5N1 強毒性新型インフルエンザウイルス日本上陸のシナリオ』

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年末年始に台湾や上海などで相次ぎ新型インフルエンザウイルスの感染者が確認されました。これから季節性のインフルエンザが流行る時期でもあり、日本に上陸するのではと不安を感じている方も多いのではないでしょうか。2014年最初にご紹介するのは、日本での新型インフルエンザ大流行を描いた小説『H5N1 強毒性新型インフルエンザウイルス日本上陸のシナリオ』です。

日本での新型インフルエンザ
大流行を描いた衝撃的な小説

 季節性のインフルエンザが流行期に入り、マスク姿の人びとが街中に目立ち始めた年明け早々、中国から不吉なニュースが飛び込んできました。上海市内で新たに鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の感染者が発見されたのです。市衛生局の発表ということですから確かな情報と見ていいでしょう。上海市においては、じつは昨年3月に同型ウイルスのヒトへの感染が初めて確認されました。当時の報道によれば、感染者は2市4省の計97人に拡大し、うち18人が死亡したそうです。

 インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型など多くの種類があることはご承知のとおりです。通常、ヒトのあいだで流行するのはA型とB型であり、鳥インフルエンザウイルスもA型です。鳥インフルエンザウイルスにはH1~H16まで16種類の亜型(本来の型から派生してできたもの)があり、これらが水禽類の渡り鳥(カモ、ハクチョウなど)を宿主として地球上に存在しているのです。

 その鳥インフルエンザウイルスは従来、ヒトへは感染しないと考えられていました。しかし、2003年に中国やベトナムでヒトへの感染例が報告されて以降、「感染した鳥またはその死骸と濃厚に接触した場合、まれに感染することがある」と言われるようになりました。ヒトからヒトへの感染は未だ確認されていませんが、そもそも感染源や感染経路などについては明確なことはわかっていないのです。世界保健機構(WHO)は「感染者の半数以上は家禽に接触していなかった」と見ており、ヒトからヒトへの感染の可能性は排除できていません。

岡田晴恵著『H5N1 強毒性新型インフルエンザウイルス日本上陸のシナリオ』2007年9月刊。ダークな雰囲気の装丁と危機感をあおる帯コピーに、思わず目を奪われます。

 前置きが長くなりましたが、本書『H5N1 強毒性新型インフルエンザウイルス日本上陸のシナリオ』は、近年懸念されている新型インフルエンザが日本に上陸、パンデミック(大流行)に至るまでの過程をシミュレーションし、小説の形を借りて書かれたものです。

20世紀に起こったスペイン風邪(スペインインフルエンザ・1918年)、アジア風邪(1957年)、香港風邪(1968年)といった過去の新型インフルエンザはすべて、弱毒型の鳥ウイルスに由来していた。あのグレートインフルエンザとして恐れられ、全世界で4000万人から1億人、日本国内で45万人以上を殺したとされるスペイン風邪でさえ、“弱毒性”のウイルスであった。

 これに対し、1997年香港で発生したH5N1型強毒性ウイルスのヒトへの感染は、呼吸器感染症に終始する通常のインフルエンザの常識を超えて、多臓器不全という重症な症状と高い致死率を伴う、全く新しい疾患をもたらした。このような強毒型ウイルスがヒト型ウイルスに変化して、新型インフルエンザとしてパンデミック(大流行)を引き起こしたらどうなるのか?(14ページ)

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鎌塚正良 [ダイヤモンド社論説委員]

1978年ダイヤモンド社入社。「週刊ダイヤモンド」編集長などを経て、現在は書籍編集局担当の取締役兼論説委員。


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