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シネマで学ぶ組織論

ロード・オブ・ザ・リング
-エマージェント・リーダーを考える

林 恭子 [グロービス経営大学院教員]
【第2回】 2009年5月29日
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グロービス・マネジメント・スクールで教鞭をとる林恭子氏が映画を切り口に、組織論の様々なテーマやフレームワークを紹介する連載。第2回は、ファンタジー超大作「ロード・オブ・ザ・リング」を題材にして、リーダーとは何か、考察する。

心優しい、繊細な若者の物語

 皆さん、こんにちは。林恭子です。

 今回は、映画「ロード・オブ・ザ・リング」を題材に「リーダー」というものについてちょっと考えてみたいと思います。「リーダー」というと、どんな人を連想されますか? 乱世の世に、「ものども、着いて参れ!」と指令を飛ばす戦国武将のような人でしょうか。それとも、スポーツなどのチームを勝利へと導く、百戦錬磨の手だれた監督のような人でしょうか。今回はそんな一般的な「リーダー」のイメージとは違った視点をご紹介します。

Creative Commmons. Some Rights Reserved. Photo by lrargerich

 映画「ロード・オブ・ザ・リング」は3部作で、今回中心として取り上げる第1部は2001年の作品です。J・R・R・トールキン著の「指輪物語」という壮大な本を原作としています。北欧神話やケルト神話、宗教にも深く立脚しているこの作品は、一大冒険スペクタクルであり、かつ、「善、悪って、一体何なのだろう」とか「欲望の正体は…」「人間って…」と考えさせるような、深淵な作品でもあります。

 この作品の中でのリーダーといえば、誰を思いますか?

 魔法使いのガンダルフを思い浮かべる人もいるでしょう。あるいは、勇気ある騎士、アラゴルンを思い浮かべる人もいるかも知れませんね。2人ともリーダーと考えられる要素が多くあります。でも、今回私が違う角度から注目してみたいのは、小さなホビットの若者、フロドです。「え?フロド?」という声が聞こえてきそうですね(笑)。

 フロドは、ホビット族という、小さな種族の一人です。ホビット族は天でも地でもない中つ国に住み、平和でのびのびした生活を好む種族。その中心的存在、ビルボの養子がフロドです。彼は聡明で心優しいけれど、繊細で強くはない若者です。物語は、フロドの養父、ビルボが拾って隠していた魔法の指輪をフロドに託すところから始まります。

エマージェント・リーダーとしてのフロド

 その指輪は、遠い昔に闇の冥王サウロンが作り出したもので、指輪を持つ者は生きるもの全てを支配する恐ろしい力を持つことができるのです。その一方、指輪を持つ者も指輪の魔力に魅入られ、正常な心を失い闇へと落ちて行く宿命を持ちます。この恐ろしい指輪の魔力を破壊する方法はただ1つ。滅びの山の火口“滅びの罅裂(かれつ)”に指輪を投げ込んで葬るしかありません。しかも、冥王サウロンの魂は、今もこの指輪を探し続け、再びこの世を支配しようとしています。

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林 恭子 [グロービス経営大学院教員]

グロービス経営大学院教員・(株)グロービス 経営管理本部 本部長。筑波大学大学院ビジネス科学研究科博士課程前期修了。モトローラにてOEMを担当した後、ボストン・コンサルティング・グループの人事担当リーダーとして幅広く人材マネジメントに携わる。現在はグロービスにて経営管理全般を統括、兼任でグロービス経営大学院の教員としてリーダーシップ、ダイバーシティマネジメント、キャリア開発等の領域を担当。企業研修、講演も多数。共著書に『【新版】グロービスMBAリーダーシップ』(ダイヤモンド社)、『「変革型人事」入門』(労務行政)、『女性プロフェッショナルたちから学ぶキャリア形成』(ナカニシヤ出版)。
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シネマで学ぶ組織論

グロービス・マネジメント・スクールで教鞭をとる林恭子氏が映画を切り口に、組織論の様々なテーマやフレームワークを紹介する。(グロービス・グループ「GLOBIS.JP」の提供)

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