1989年、伝承通りに
古代出雲大社を復元してみたら……
お正月に、NHKで『二つの遷宮 伊勢と出雲のミステリー』を見ました。そこで一番衝撃を受けたのは「歴史は変わる」「歴史は作られる」ということ。2つの遷宮とは、伊勢神宮と出雲大社のそれなのですが、まずは出雲大社のナゾから。
現存する出雲大社本殿の高さは、24.2m(8丈)です。大国主命(オオクニヌシノミコト)を祭る本殿は入母屋の、いわゆる「大社造り」のどっしりした姿で、神社としては日本で最高(高さが高い)です。
ただ、木造寺社でいえば、奈良の大仏さま(盧舎那仏)を納める東大寺大仏殿(金堂)が、現在48m、創建当時
45m(15丈)でそれをはるかかに凌ぎます。
ところが出雲大社については、不思議な伝承が古来からいくつもありました。
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・平安時代の『口遊(くちずさみ、*1)』には「雲太、和二、京三(うんた、わに、きょうさん、*2)」とあり大仏殿より出雲大社のほうが高いとされている。
・数年から数十年に1回、倒壊をくり返していたとの記録(*3)が残っている。
・平安時代の図面「金輪造営図(かんなわぞうえいず、*4)」では、本殿は巨木を3本まとめた直径3m柱で支えられ、階段の長さは109mとなっている。
なんと昔、出雲大社本殿は巨柱に支えられて今の倍も高かったというのです。確かに、出雲大社の社伝でも、中古には本殿の高さは16丈(約48m)もあったとされています。つまりこんな感じです(大仏殿は当時、高さ45m)。
当然みな、半信半疑でした。「こんなの建つわけない」。
*1 970年に文人 源為憲が貴族の子弟向けに書いた教科書。乾象、時節、官職、人倫、禽獣など19部門に分け暗唱できるようにまとめてある。暗算の仕方である「九九」が載っていることで有名。
*2 出雲太郎、大和二郎、京の三郎。各々、出雲大社本殿、東大寺大仏殿、平安京大極殿のこと。
*3 平安中期から鎌倉時代初めまでの200年間に7度も倒壊している。
*4 出雲大社の宮司である出雲國造家(千家)に伝わるもので、平安期の本殿の指図(設計図)の1つとされる。