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佐治社長にはなぜアニマルスピリットがあるのか?
デメリットばかりではないサントリーの“同族経営力”

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第311回】 2014年1月28日
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キリンとの破談にめげずビーム買収を決定
挑戦を続けるサントリー佐治社長への興味

 サントリーの佐治信忠社長のことは、かなり前から興味深い経営者だと思っていた。今から約4年前、同氏は一時わが国指折りの優良企業であるキリンとの合弁に向かって動いた。残念ながらその案件は、上場企業であるキリンと同族企業であるサントリーの統合比率で最終合意が得られず、破談に終わった。

 その後も、サントリーはM&Aに対する積極姿勢を続け、ニュージーランドの飲料大手やフランスのオランジーナ・シュウェップス・グループ、さらには英国のグラクソ・スミスクラインの飲料事業の買収を実現してきた。

 そして今回、米国最大の蒸留酒メーカーであるビーム社を160億ドル(約1兆6500億円)で買収することを決めた。買収金額もさることながら、蒸留酒部門で世界第10位の同社が、同世界第4位の大手企業を取りこんで3位にのし上がることになる。佐治社長の言葉を借りれば、「一世一代の大勝負」になるだろう。

 買収劇の背景には、人口減少・少子高齢化などによる国内マーケットの限界がある。国内市場に固執していると、在来分野の企業はジリ貧になる可能性が高い。それを回避するためには、生き残りをかけて世界市場で勝負することが必要になる。

 世界市場で激烈な競争に入ることは、言うまでもなく大きなリスクを背負うことになる。失敗すれば経営破綻の可能性さえある。大きなリスクを取って大勝負を打つことには、経営者であっても躊躇する心理が働くはずだ。

 サントリーという企業には、「一世一代の大勝負」を許容する文化がある。それは、今でも創業者一族が株式の大半を握る、いわゆる“同族会社”の強みなのかもしれない。

 サントリーは、1899年に鳥井信治郎が鳥井商店として創業、寿屋として甘口の赤玉ポートワインを製造販売した。その後、大阪の山崎にウイスキー工場を設立して国産初のウイスキーを発売する。同社のウイスキーは「トリス」の名前でブランドが定着し、消費者の支持を得ることになる。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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