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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

春節(旧正月)の風景を大きく変える
ネット版「紅包」サービスの大ヒット

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第192回】 2014年2月6日
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 中国はいま、春節(旧正月)の最中だ。子どもの頃、旧正月は一番楽しい祭日だと思う。肉や魚など美味しい料理が食べられるだけではなく、親戚の家を訪問したときや自宅に来客したときなど、「圧歳銭」と呼ばれるお年玉がもらえる。貧困時代だっただけに、このお年玉は子どもにとっては一年間の娯楽生活を支える重要な軍資金だ。私はいつもこの貯めたお金で、近くの貸本屋に行って、絵本などを借りた。たまには、誘惑に勝てず駄菓子を買う場合もあった。

年末や旧正月に渡す赤い封筒

 圧歳銭はいつも赤い封筒に入れて渡すので、お金が入ったこの赤い封筒は「紅包」と呼ばれる。しかし、紅包の意味はもっと広い。会社などの場合、旧暦の年末になると、社員にボーナスを支給する。そのボーナスも紅包の形で渡す。オーナー会社の場合、オーナーが会社の経営に貢献した人に対して、ボーナス以外で特別奨励金を出すときも紅包であげる。

 社会人になってから、幸か不幸か、私はいつも紅包を出す側の人間になってしまう。一度も紅包をもらう側に立ったことはなかった。数年前まで春節頃にふるさとの上海に帰ると、私の前に紅包をもらう親戚の子どもが長蛇の列になるのがたいへん印象的だった。

 上海に帰ると、中学時代、特に文化大革命時代に黒竜江省の農村に「下放」された時代の旧友たちが久しぶりに会いに来る。彼らが帰るときは、ホテルの玄関先まで見送りに行き、そして握手してさよならする。そのとき、誰にも気付かれないように握った手に紅包を握らせる。多くの仲間は早々とリストラされ、生活に困窮している。しかし、大人である彼らのプライドには傷をつけてはならない。紅包には、寄付や援助という性質をもつ一面もある。

 こうして春節の紅包の支出だけでも数十万円にものぼる。だから、春節に故郷に帰ろうと決めるときは、それなりの覚悟もしておかないといけない。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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