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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

春節に復活した手作り「年夜飯」
ますます高まる中国の食の安全志向

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第142回】 2013年2月14日
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 中国の春節(旧正月)は中国人にとって大型連休の一つである。その大型連休が終わろうとしている。

 春節というと、多くの中国人にとっては大晦日の夜の食事が大事だ。家族全員が団欒してその食事を楽しむ。この食事は「年夜飯」と呼ばれる。年夜飯は単なる家族の会食という域を大きく超える存在だ。多くの人がそれを家族の幸福の形の一つと見る。だから、この年夜飯に間に合うように、長距離の移動をも辞さずに遠いところから駆けつける。海外にいる私たちは、仕事などの関係で春節に故郷に帰れないから、逆にいつも中国にいる家族に申し訳なく思う。

ひそかに復活した
手づくり「年夜飯」

 貧乏時代の中国では、この年夜飯はそれぞれの家庭で作っていた。しかし、改革・開放時代が進み、所得事情が好転するにつれ、約20年前から、年夜飯をレストランないしホテルでする傾向が広がり、自宅の手料理による年夜飯は大都市部ではほとんどなくなった。ところが、今年、この手料理による年夜飯は上海などの大都市でひそかに復活したという知らせが届いている。

 一番大きな原因は食品の安全問題だろうと思う。安全な食事をしたい。レストランの味に飽きた。食事を作る楽しみがたまらない。こうした理由が手づくり年夜飯の復活につながったようだ。

安徽省の農村で見た自家製のハム

 食品の安全問題に対する中国国民の関心が、いろいろなところに現れている。昨年、安徽省を訪問したとき、帰りに地元の友人が手作りのハムをプレゼントしてくれた。地元の農家に頼んで作ったもののお裾分けだ。友人の話によると、市販の肉製品の品質に不安があり、親しい農家と契約して、毎年、自家専用の豚を安全な飼料で飼育してもらい、その豚の肉でハムなどを作っている、という。一種の自給自足のような生活スタイルだ。地方に暮らしているから、そこまでできるのだ。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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