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高橋洋一の俗論を撃つ!

世界の金融・資本市場が動揺
FRBの出口戦略で市場があたふたする理由

高橋洋一 [嘉悦大学教授]
【第86回】 2014年2月6日
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 今回は、今金融界で話題になっているテーパリング(tapering)に動揺する新興国市場とイエレン新FRB(米連邦制度理事会)議長の課題について、書いてみよう。

 誰が慌てふためいているのか、それは市場関係者である。そして市場が乱高下して、それへの対応のために、新興国で利上げが行われている。それが功を奏していないので、新興国市場が混乱しているわけだ。

試験問題は教えたのに……

 ここで、問題はなぜ市場関係者が慌てているのか、である。

 市場関係者の慌てぶりはいつものことである。これが相場の下がったくらいであれば、実体経済にはたいした影響はないが、リーマンショックのような金融危機になると一大事である。幸いなところ、現段階では単に相場が下がったという程度である。ただし、今後の展開は細心の注意をもって見る必要があろう。

 それにしても、予想外の突発事態であれば、慌てふためくのは理解できるが、以前からアナウンスされていた政策の変更について慌てるのは、筆者としてはなかなか理解しにくい。

 こう言うと、筆者がプリンストン大時代からバーナンキ前FRB議長と個人的に知り合いだからと邪推されるかもしれない。たしかに、米連邦準備理事会(FRB)議長就任の前には、メールで気安く連絡していたが、FRB議長ともなるとそう簡単ではない。ただし、人間の本質はなかなか変わらない。バーナンキ前議長は生粋の学者であり、しかもデータ分析をベースとしているので、それさえわかれば、行動を予測するのはそれほど難しいとは思えない。

 テーパリングという言葉は、バーナンキ前議長が語った言葉で、量を減らすこと、つまり、量的緩和の縮小である。

 具体的には、FRBは昨年12月18日、量的金融緩和の縮小を決定した。ただし、市場から購入する債券の金額を徐々に減らしていくが、緩和のスピードをダウンさせたものの、緩和傾向であることに変わりない。

 そのために、バーナンキ前議長はかなり以前から「6.5%の失業率と2%のインフレ率」という明確な条件を示していた。

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高橋洋一[嘉悦大学教授]

1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。

 


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