2月20日から始まった全5回連載では、『自信は「この瞬間」に生まれる』を刊行され、ハーバードで「ベストティーチャー」に選ばれ続けた日本人教授、柳沢幸雄さんに「自信」の秘密を教えていただきます。

第4回目の今日は、「お金」の面から一生モノの自信を手に入れる秘訣を教えていただきます。実家が商売をしていて子どもの頃から「お金」の大切さ、稼ぐことの大切さを教えられてきたという柳沢先生。「時給思考」や「元銭」など、ユニークな「お金」の考えかたを紹介します。

年収を2000で割れば、自分の時給がわかる

 突然ですが、みなさんは自分の時給を知っていますか?

 個人差はあるものの、年収を2000で割るとだいたいの時給が出ます。年収400万円の人なら、時給は2000円。500万円なら2500円、700万円なら3500円になります。さて、あなたの時給はいくらでしたか?

 なぜ、自分の時給を知ることが大切なのでしょう。それは自己投資をする時の大切な基準になるからです。サービスを利用したり、モノを買ったりする時、自分の時給を尺度にして払う価値があるかないかを判断するわけです。

 たとえば、年収400万円の人が、5万円の商品を買おうか迷っているとします。彼の時給は2000円ですから、5万円は25時間分の労働に匹敵します。1日8時間働いて丸々3日分。

 はたして、その商品にそれだけの価値があるのか、ないのか。25時間の労働と釣り合うだけの満足感を、その商品は与えてくれるか。そんなふうに考えてみると、案外簡単に答えが出ます。

 ブランド品、英会話や資格の勉強、海外旅行、友人とのお付き合い……どれが自分への投資にふさわしいのか、迷ったら「時給」を参考にするといいと思います。

柳沢幸雄(やなぎさわ・ゆきお)
東京大学名誉教授。開成中学校・高等学校校長。シックハウス症候群、化学物質過敏症に関する研究の世界的第一人者として知られる。1947年、疎開先・千葉県市川市の母の実家で出生。1971年、東京大学工学部化学工学科を卒業後、日本ユニバック株式会社にシステムエンジニアとして勤務し、激務のかたわら、週15時間英語の勉強に打ち込む。1974年、水俣病患者を写したユージン・スミスの写真に衝撃を受け、化学工学を勉強すべく、東京大学大学院工学系研究科の修士課程・博士課程に進学。この頃、弟と一緒に学習塾の経営を始める。東京大学工学部化学科の助手を経て、1984年にハーバード大学公衆衛生大学院環境健康学科の研究員の職を得て、家族を連れ渡米。その後、ハーバード大学公衆衛生大学院環境健康学科の助教授、准教授、併任教授として空気汚染の健康影響に関する教育と研究に従事、学生による採点をもとに選出される「ベストティーチャー」に数回選ばれる。1999年、東京大学大学院新領域創成科学研究科環境システム学専攻教授に就任。2011年より現職。