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岸博幸のクリエイティブ国富論

深夜のホーチミン線増便が蟻の一穴に?
政府方針の空文化が危惧されるJALの“仕掛け”

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第257回】 2014年2月21日
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先週は政府の規律の緩さの典型例として文科省の大学発ベンチャー予算を取り上げましたが、そうした規律の緩さは政府だけではありません。民間でも頻発しているように見受けられます。その典型例はJALの新規路線の開設ではないでしょうか。

JALの羽田発着
増便に至るこれまでの経緯

 もう旧聞に属する話ではありますが、JALは1月下旬に今年度の路線便数計画を決定し、その中で羽田発着の国際線を昼間時間帯に4便、深夜時間帯に1便増やすことを決定しました。

 これは、昨年10月に国交省が決定した羽田の昼間時間帯の国際線発着枠の配分で、JALに5枠が割り当てられたことを踏まえたものでしょうが、これまでの経緯を考えると違和感を感じざるを得ません。

 このコーナーで何度も説明してきたように、JALの再生の過程で政府が過剰な支援を行なったために、JALは必要以上に財務体質が強い会社として再生し、しかも税法により今後6年も法人税の支払いを免除されるため、競合相手(ANA)は競争上著しく不利な立場に置かれることになりました。

 そうした政府の過剰支援による競争上の歪みを是正すべく、国交省は昨年8月に“日本航空の企業再生への対応について”という方針をまとめたのですが、その中では、

 「(国交省)航空局は、日本航空の投資や路線開設が、我が国の航空ネットワークの維持・発展に貢献するものとなっているか、また、公的支援によって競争環境が不適切に歪められていないかを確認するため、JALグループ中期経営計画(201216年度)の期間中、定期的又は必要に応じ、日本航空に対し投資・路線計画について報告を求め、その状況を監視する。」(下線は筆者)

 と明確に述べられています。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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