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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

反対派町議宅が放火された灌漑事業の底知れぬ闇
開けない給水栓を税金で設置する宮崎の農業政策

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第88回】 2014年3月4日
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自治体取材が重大事態を生じさせるケースも
宮崎県の農村地帯を訪ねたときの葛藤

 自治体関連の記事ばかりを書いているが、いつも自由気ままに執筆している。それゆえに、書いたものが物議を醸したり、波紋を生むというケースがよくある。取材先から、「なんであんなことを書いたんだ!」となじられたり詰め寄られることも、それほど珍しいことではない。

 人は通常、自分や自分たちの組織にとって都合の悪いことを書かれると憤るものだ。内容が否定できないものであればあるほど、怒りのボルテージは上がる。そして、それは自分たちにとっての都合の悪さとも比例する。つまり、隠しておきたいものを書かれたからこそ、怒り心頭となるのである。

 そういうものだと認識しているため、書き手に直接向けられる怒りや憎しみ、敵意の刃にたじろぐことはない。はなから覚悟の上であるからだ。むしろ記事化しながら、何も反響がない場合よりは良いとさえ思っている。

 だが、記事への思わぬリアクションに血の気の引く思いをしたこともある。攻撃の刃が書き手にではなく、別のところに向けられたケースである。

 不可解な公共事業の事例を記事化した直後に、取材対象者の倉庫などが放火されたことがある。その一報を受けたときは、本当に肝を冷やした。

 幸いにも人的被害は防げたものの、取材対象者の大事な資料が灰となり、掲載したばかりの記事のコピーも消失してしまった。事件は未解決のままとなっており、犯行動機や意図などは不明だ。しかし、こちらの取材活動や記事と何らかの関連性があるのではないかとも考えられた。今から5年前の出来事だ。

 2009年の春から秋にかけ、宮崎県中部の農村地帯を這いずるように取材していた。当時の宮崎県は、お笑い界出身の知事さんが「どげんかせんといかん」のキャッチフレーズで圧倒的な人気を集め、全国的な注目を浴びていた。そんな知事さんの動向にも着目しながら、こちらは県内で進行中のある公共事業の現場を訪ね歩いていた。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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