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領域を超える経営学
【第8回】 2014年3月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
琴坂将広 [立命館大学経営学部国際経営学科准教授]

第8回
ただ「自分はこう思う!」と叫ぶのは学者ではない
巨人の肩の上から未来を語る、科学としての経営学

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ベンチャー企業の経営者として実務に携わり、マッキンゼー&カンパニーのコンサルタントとして経営を俯瞰し、オックスフォード大学で学問を修めた琴坂将広氏。『領域を超える経営学』(ダイヤモンド社)の出版を記念して、新進気鋭の経営学者が、身近な事例を交えながら、経営学のおもしろさと奥深さを伝える。連載は全15回を予定。

オックスフォード大学で取得した博士号

『領域を超える経営学』(ダイヤモンド社)も発売から約1ヵ月が経ちました。かなり真面目な本にもかかわらず、多くの方に手に取ってもらえていることに、とても大きな喜びを感じています。

 さて、本書を上梓する際に多くいただいたのが、「その本はオックスフォード大学での博士論文の成果をもとにしているのですか?」という質問です。

 結論から申し上げますと、違います。

 オックスフォード大学での助手としての経験はもちろん活かされています。また、オックスフォード大学での研究生活がこの本の基盤となっているのは揺るぎのない事実です。しかし、私の博士論文は本書とは関連しつつも、より狭い領域を取り扱っています。

 奇しくも世間では、もし報道が事実なのであれば、私をはじめ、人生をかけて博士論文を仕上げた人間たちを愚弄する行いをしていた人物が話題に上がっています。これはおそらく、個人の問題ではなく、構造的、組織的な問題なのでしょう。

 極めて残念な事態であり、私のような人間だけではなく、ほぼすべての科学者がこの事態を深刻に受け止め、そして怒りを通り越した悲しみをもって事態を見つめているはずです。これはもはや当事者たる本人を責める以上に、こうした行いをさせるに至った状況の正確な検証が急務と考えてます。

 実は、この事態を迎えるより1ヵ月ほど前から、今回は博士論文について書こうと思っていました。

 当初は、現時点では未確定な情報も少なくないことを考慮して、トピックを変えるべきかとも考えていました。しかし、しっかりと議論すべきいい機会であることもたしかです。

 そこで今回は、私が博士論文をどのようなものだと考えているか、そして、その論文で何を議論しようとしたのか、できるだけ簡潔に、さわりだけでも簡単にご紹介したいと思います。

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琴坂将広(ことさか・まさひろ) [立命館大学経営学部国際経営学科准教授]

慶應義塾大学環境情報学部卒業。在学時には、小売・ITの領域において3社を起業、4年間にわたり経営に携わる。 大学卒業後、2004年から、マッキンゼー・アンド・カンパニーの東京およびフランクフルト支社に在籍。北欧、西欧、中東、アジアの9ヵ国において新規事業、経営戦略策定のプロジェクトに関わる。ハイテク、消費財、食品、エネルギー、物流、官公庁など多様な事業領域における国際経営の知見を広め、世界60ヵ国・200都市以上を訪れた。
2008年に同社退職後、オックスフォード大学大学院経営学研究科に進学し、2009年に優等修士号(経営研究)を取得。大学の助手を務めると同時に、国際経営論の研究を進める。在籍中は、非常勤のコンサルティングに関わりながら、ヨットセーリングの大学代表選手に選出されるなど、研究・教育以外にも精力的に活動した。2013年に博士号(経営学)を取得し、同年に現職。専門は国際化戦略。
著書に『領域を超える経営学』、共編著に『マッキンゼー ITの本質』(以上、ダイヤモンド社)、分担著に『East Asian Capitalism』(オックスフォード大学出版局)などがある。
Twitter:@kotosaka


領域を超える経営学

ベンチャー企業の経営者として実務に携わり、マッキンゼー&カンパニーのコンサルタントとして経営を俯瞰し、オックスフォード大学で学問を修めた琴坂将広氏が、3つの異なる視点でグローバル経営の過去、現在、そして未来を語る。『領域を超える経営学』(ダイヤモンド社)の出版を記念して、新進気鋭の経営学者が、身近な事例を交えながら、経営学のおもしろさと奥深さを伝える。連載は全15回を予定。

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