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ない袖振ってまで配当捻出
コスモにのしかかる株主圧力

週刊ダイヤモンド編集部
2014年3月31日
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主力の千葉製油所は東燃傘下の精製子会社との共同運営化を進めている

 「苦しい中でもよくやるなあ……」。コスモ石油の配当計画が、業界関係者の間で話題になっている。主力の千葉製油所が事故とその後の不具合により長期停止していたことから、2013年3月期は純利益で859億円の大赤字を計上し、無配に転落。14年3月期も復配のめどがなかなか立たなかったが、3月11日、1株当たり2円の配当予想を発表した。

 とはいえ、業績は振るわない。14年3月期の業績予想は、13年11月の公表時から大幅に下方修正。売上高は横ばいだが、経常利益は18.5%減の440億円、純利益に至っては82.1%減の25億円になる見込みだ。原油高や円安が進む一方で、ガソリンをはじめとした石油製品の国内市況は低迷しており、石油精製.販売事業のマージンの悪化が響いた。

 厳しい経営状況にもかかわらず、配当に踏み切ったのはなぜか。表向きは森川桂造社長の「復配に対する“強い思い”の表れ」となっているが、要はコスモ株を約20%持つ「筆頭株主であるアブダビ政府系投資会社(IPIC)がプレッシャーをかけているから」とささやかれる。もっとも、IPICがいら立つのも無理もない。ただでさえ、出資した6年前からコスモ株は6割も下落しているからだ。

 注目すべき点はほかにもある。経常利益に比べ、純利益の下方修正幅が非常に大きいということだ。特別損失などの要因は見当たらないため、税金がその大半を占めると考えていい。

 実は、石油事業は当初計画でも赤字。マージンの悪化で経常損益がさらに下振れしたものの、国内における税金の支払いは発生しないことから経常損益と純損益に大きな差は生じない。それに対して、海外で原油を開発・生産する石油開発事業は計画を上回ったが、産油国への税金に国内よりも高い税率を課せられるため、純損益を大きく押し下げる。

 コスモの開発事業といえば、経常利益で607億円(13年3月期)を稼ぎ出す虎の子だ。アブダビでは40年間にわたって原油開発・生産の実績がある。ところが「産油国への税率は85%前後と推測され、原油価格が上がっても純利益は伸び悩む」(アナリスト)という宿命を抱える。

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