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【BCG×フロントランナー化学反応スパーク対談】

メダルはお金で買えますか?買うべきですか?
アスリートソサエティ 代表理事・為末大
×BCG日本代表・水越豊【中編】

為末 大,水越 豊 [ボストン コンサルティング グループ 日本代表]
【第12回】 2014年3月28日
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陸上スプリント種目の世界大会で日本人初のメダルを獲得した為末大さん(右)とBCG日本代表・水越豊さん

為末大氏は前編で「メダルは、お金で買えるのか?」という問題提起をした。もしも、メダルがお金で買えるとするならば、あなたはそれを買うだろうか?これが中編のテーマである。

唐突に感じられるかもしれないが、このテーマは今、グローバル経済の中で私たちに突きつけられている問題にとてもよく似ている。「お金で買えるもの」と「買えないもの」を明確に区別し、買えるものは迷わず買うというドライな選択ができるかどうか、が試されているのだ。

メダルはある意味、お金で買える。ビジネスもこれと同じで、世界で勝とうと思うならば、巨大な資金力のある企業が圧倒的に有利である。だが、当然のことながら、すべてをお金で買うことはできない。経済合理性のみの価値観で動く企業や組織を社会がどこまで許容できるのか、という問題も同時に考える必要がある。

以上のような問題を考えながら、為末氏と水越氏の対談「中編」を読んでいただきたい。
(構成 曲沼美恵/撮影 宇佐見利昭)

なぜ「合理」と「非合理」の
壁をうちやぶれないのか?

水越 為末さんが前編の最後におっしゃった「メダルはお金で買えるのか?」という問題について、もう少し詳しくお話を伺いたいのですが。

為末わかりやすいように、1つ、実際にあった例を挙げましょう。ロンドンオリンピックの時、陸上チームが最初まず、ある一定数の候補者に対して強化費や支援金を投下しました。これが、オリンピックの4年前です。3年前にはその人数をある程度にまで絞った。さらに次の年に、そして最終的にはかなり限定された数に絞っていきました。

 同時に、何歳までに活躍していなかった選手がその後に活躍する確率はどれくらいかというデータも出して、それでも選手を絞り込んでいった。そこまで科学的かつドライにやれば、メダル数はある程度獲得できます。しかし、「選ばれなかった選手がかわいそうじゃないか」「それではあまりに不平等だ」という声が大きくなると、どんなに効率的な方法で選抜・育成しても社会がそれを許容できるのか、という別の問題が出てきてしまうような気がするんです。

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為末 大(ためすえ・だい)

元プロ陸上選手。
1978年広島県生まれ。2001年エドモントン世界選手権で、男子400mハードル日本人初となる銅メダルを獲得。さらに、2005年ヘルシンキ世界選手権でも銅メダルと、トラック種目で初めて日本人が世界大会で2度メダルを獲得するという快挙を達成。オリンピックはシドニー、アテネ、北京の3大会に出場。“侍ハードラー”の異名を持つトップアスリート。男子400mハードルの日本記録保持者でもある(2012年10月現在)。
2012年6月、大阪で行われた日本陸上競技選手権大会を最後に、25年間の現役生活に終止符を打った。Twitterフォロワー13万以上(2012年12月現在)、「知的に語れるアスリート」として、言動にも注目が集まる。
著書は、『走りながら考える』(ダイヤモンド社)、『走る哲学』(扶桑社新書)、『決断という技術』(共著、日本経済新聞出版社)、『日本人の足を速くする』(新潮新書)など多数ある。
爲末大学 http://tamesue.jp/

 

水越 豊 [ボストン コンサルティング グループ 日本代表]

みずこし・ゆたか/東京大学経済学部卒業。スタンフォード大学経営学修士(MBA)。新日本製鐵株式会社を経て現在に至る。BCGテクノロジー・メディア・テレコミュニケーション・プラクティス、ヘルスケア・プラクティス、エネルギー・プラクティスのコアメンバー。なでしこリーグへの無償のコンサルティング支援(プロボノ・プロジェクト)を担当。著書に 『BCGG戦略コンセプト』(ダイヤモンド社)、また監修に『新興国発 超優良企業 GLOBALITY』(講談社)がある。学生時代はラグビー部に所属。幅広い競技に対して解説者並みの知見を持つBCGのスポーツ博士。


【BCG×フロントランナー化学反応スパーク対談】

ボストン コンサルティング グループ(BCG)は世界をリードする戦略系経営コンサルティングファームである。そのパートナーが、ビジネス界とは異なる世界で活躍するフロントランナーへのインタビューを通じて、ビジネスパーソンが直面する課題解決への示唆を紡ぎだす。ビジネス外のプロフェッショナルとビジネスのプロが率直に語り合う異種格闘技戦。思いもかけない化学反応がおき、ビジネスパーソンにとって大きなヒントが導き出せるだろう。

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