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日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ

自縄自縛の“モジュール化のジレンマ”から抜け出せ!
「次世代すり合わせ術」の核は技術の標準化にあり

松本晋一 [株式会社O2/株式会社XrossVate/株式会社安田製作所代表取締役]
【第5回】 2014年4月2日
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モジュール化の功と罪
それはすでに「第二世代」へ

 読者諸氏は、「モジュール化」という言葉に対して、どんな印象を持つだろうか。世間では、一時期大赤字に苦しんだ日の丸家電メーカー各社が、自らの首を絞めてしまった原因の1つであるようなイメージを持たれているフシもある。

 「自社製品の重要な機能を司るデバイスをモジュール化することにより、競合他社に技術を真似され易くなり、韓国・中国などの大企業にグローバル競争で追いつかれてしまった」「さらに、折からのデジタル化がそれに拍車をかけた」というわけだ。

 しかし、それは本当に正しい認識だろうか。世の中では今、モジュール化が大ブームだ。たとえば、家電業界と同じく、モジュール化への取り組みが進む自動車業界を見れば、海外企業の追随を許さない圧倒的な技術の強みを持ち、折からの円安の追い風も受けながら、各社は本業で軒並み過去最高益をたたき出しているではないか。

 トヨタでは「TNGA」(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)、日産とルノーでは「CMF」(コモン・モジュール・ファミリー)、VWでは「MQB」と呼ばれるモジュール化への取り組みを積極的に進めている。筆者はこの考え方を否定しない。事実、弊社もこの手の活動は得意領域の1つだ。

 しかし、気をつけなくてはならないのは、一昔前のモジュール化と今後のモジュール化の質が異なる点だ。モジュール化にも第一世代、第二世代が存在する。第一世代(第一世代と言ってもわずか数年前の話だが)の思想を取り入れてモジュール化に取り組んでも、企業が求める結果には辿り着きにくい。冒頭の例のように、モジュール化に失敗した業界・企業は「一昔前の思想」でそれを進めてしまった可能性がある。

 では、第一世代と第二世代は何が異なるのか? 企業がモジュール化で自社の競争力を高めるためには、どうしたらいいのだろうか。今回は、それについて述べたい。

 結論から言うと、第一世代と第二世代のモジュール化の違いは、第一世代が部品やユニットなどのモノの標準化や共通化に主眼を置いていたことに対し、第二世代は、技術を主眼に置いている点である。

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松本晋一 [株式会社O2/株式会社XrossVate/株式会社安田製作所代表取締役]

株式会社O2(オーツー)株式会社XrossVate(クロスベイト)株式会社安田製作所代表取締役。1970年生まれ。千葉県出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。大手化学メーカー、外資系ITベンダーのディレクター、コンサルティングファームのディレクターなどを経て、2004年株式会社O2を設立、代表取締役就任。2013年に新会社XrossVateを設立。2014年に射出成型用金型メーカ株式会社安田製作所に出資を行い経営参画。


日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ

日本の製造業は危機に瀕していると言われて久しい。様々な業界関係者が口にする「日本企業は技術で勝っても事業で負けている」という言い訳は、本当に正しいのか。実は、日本のゲンバにはもっと根深い本質的な課題がありそうだ。日本企業の5重苦、7重苦の原因は、日本の技術力の低下そのものにあり、その原因は大きく「技術伝承」の放置と悪い意味での「部分最適思考」の2つにある。製造業を中心に大手企業のコンサルティング業務を手がけ、企業のゲンバと深い付き合いを続けてきた株式会社O2(オーツ―)の松本晋一代表取締役が、“超高速すり合わせ型”モノづくりの極意を説く。

「日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ」

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