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岸博幸のクリエイティブ国富論

「国家戦略特区」が示す成長戦略の可能性と限界

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第260回】 2014年4月4日
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 アベノミクスの成長戦略の中で、構造改革的な政策として唯一評価されているのは国家戦略特区ですが、3月28日にその地域認定が行なわれました。そこに至るまでの裏事情を調べてみると、安倍政権の成長戦略の可能性と限界がよく分かります。

官邸と担当大臣・事務局の温度差

 まず注目すべきは、結果として東京圏、大阪圏、兵庫県養父市、新潟市、福岡市、沖縄県の6ヵ所が認定されたことです。官邸の関係者の話では、国家戦略特区の事務局の側としてはもっと少ない数の地域認定としたかったのを、官邸が押し切って6ヵ所と多くしたようです。

 それでは、事務局はなぜ規制改革の拠点となる認定地域の数を少なくしたかったのでしょうか。非常に情けない話ですが、そもそも規制改革に消極的であることに加え、事務局のマンパワーが足りないのでたくさんの地域に対応できないというのも大きな理由だったようです。かつ、どうやら担当大臣も、そうした官僚的かつどうでもいい理由で改革に消極的な事務局に同調していた節があります。

 この水面下の構造が示しているのは、官邸、即ち安倍首相と菅官房長官は改革をもっと進めたいと考えているのに対して、官僚と担当大臣の側にはそうした気概がないということです。

 官邸のキーパーソン2人が改革を進めようとしているというのは、6月に新たに策定される成長戦略が真っ当な改革政策のパッケージになり得る可能性を示していると思います。

 一方で、官僚や担当大臣にはやる気がないことが明らかになったのは、逆に6月の成長戦略に向けた大きな懸念材料と言わざるを得ません。いくら官邸にやる気があっても、政策の原案を作るのは担当大臣と官僚の側ですので、そこの体制がイマイチでやる気もないとなると、6月の成長戦略も昨年同様に官僚の陳腐な作文で終わる可能性が大きいからです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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