まともに運営されているのか?
問題の中心は理研のマネジメント

 先週9日、「STAP細胞」の問題に関して小保方晴子氏が記者会見を行った。小保方氏は「ネーチャー」に掲載された論文の主著者であり、理研のユニットリーダーだ。

 注目されていたSTAP細胞の存否については、会見で、これが存在することの説得的な証拠なり、捏造があったことを認めるなりといった、事態の大きな進展は見られなかった。

 この件に関しては小保方氏の発言は「作成には200回以上成功している」、「コツやレシピのようなものがあるが、(次の論文のため)公開できない」、「第三者も成功しているが、お名前を出すことは控える」といった曖昧なものに終始した。

 これらの発言は、筆者が知っている業界では、運用業界の人間が運用ノウハウを売り込んだり、あるいは言い訳したりする時に使う論法に似ている。「シミュレーションで実証されている」、「現に○○○億円儲けた事例がある」、「儲けた顧客がいるが守秘義務があるので名前は出せない」、「私はこの方法で儲かることを確信しています」という調子だ。何度も聞いたことがある、何やら懐かしい話法だった。

 STAP細胞について、科学の観点からは、第三者による検証を待つしかない。また、客観的な立証ができていないのだから、論文はいったん撤回でいいように思うが、論文の扱いは業界のルールに従って決めたらいい。

 しかし、小保方氏の会見を見ているうちに筆者が思ったのは、現時点で重要なのは、STAP細胞の存否や、小保方氏の責任や貢献への評価ではなく、理研の運営がまともになされているのか否かではないか、ということだ。

 通称「理研」こと理化学研究所は自然科学系の総合研究所だが、主として国の支出によって賄われている独立行政法人だ。加えて、より大きな予算を獲得できる特定国立開発法人の指定を目指しているという。