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【第49回】 2014年4月28日
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石島照代 [ジャーナリスト]

「新規ビジネス参入」の真意を話そう
自らを変化させ続ける任天堂の未来とは
――岩田 聡・任天堂社長インタビュー【前編】

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今年1月に行われた任天堂の経営戦略説明会で、岩田聡社長は新規ビジネス参入を表明し、マスコミやアナリストなど関係者を困惑させた。早朝から集まった関係者の大半は、任天堂のスマホビジネス参入の話を聞きたかったはずだが、当の岩田社長の口から語られた話はまさかの「新規ビジネス参入」だった。「任天堂は時代に合わせて柔軟に、自らを変身させ続けてきた企業である」というコメントとともに語られたその方針に込められた意図は何か。岩田聡社長に話を聞いた。(聞き手/ジャーナリスト 石島照代)

故・山内溥相談役は
娯楽=ビデオゲームとは考えていなかった

いわた・さとる
1959年北海道札幌市生まれ。東京工業大学工学部情報工学科卒。81年HAL研究所入社、92年社長。2000年任天堂入社、経営企画室室長などを経て、02年現職。
Photo by Teruyo Ishijima

――1月に開催した経営方針説明会には行きましたが、記事にできなくて編集部には迷惑をかけてしまいました…。

岩田 それはどうしてですか?

――たとえば、「任天堂は時代に合わせて柔軟に、自らを変身させ続けてきた企業である」という岩田さんの発言は、「任天堂はビデオゲームビジネスの企業である」と思っている人からすると戸惑うでしょうし、娯楽という軸を外さずに新しいことをやると言われても、具体的な何かが見えない以上説明が難しいですよね。「岩田さんがやるって言ってるんだから、やるんでしょう。根拠は出せませんけど」とも書けないですし。

岩田 確かに、「任天堂はビデオゲーム(だけ)の会社だ」と世の中の多くの方々は思っておられるでしょうし、当社の社員でさえ、だんだんそう考える人が増えていると思います。モノを作る立場にある社員も、目の前のビデオゲームをどう面白くするかという考えだけに捕らわれかねない状況なので、社外の人たちがそうお考えになるのは仕方がないことだと思います。ですので、ビデオゲームを軸にすることは変わらないとしても、一度「任天堂はどんなことをやっていい会社なのか」ということを、今、言葉にする必要があると思ったんです。

 山内(溥、前社長・相談役)が亡くなったことも大きなきっかけになりましたが、「自分たちを取り巻く環境も大きく変わっている。どこかでこれから任天堂がやるべきことを定義し直したほうがいい」と感じていました。でも、「任天堂はなんでもやります」、という会社になるのは違う気がしました。

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石島照代 [ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

 


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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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