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エコカー大戦争!

子どもが「本物のクルマ」を、再び運転する日――ダットサン「ベビー」が映し出す日本特有の自動車社会の姿とは

――超小型モビリティの可能性を探る旅⑮

桃田健史 [ジャーナリスト]
【第179回】 2014年5月19日
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50年ぶりに実現!?
子どもが「本物のクルマ」を運転する日

 横浜・日産本社。
   「それなら、ニューモビリティコンセプトがちょうど良い」
 期せずして、中村氏と松尾氏は、同じことを言った――。

開業当時の「こどもの国」、こども向け自動車専用路 写真提供:こどもの国

 子どもが「本物のクルマ」を運転する。そんな夢のような話がいまから約50年前、横浜の郊外に存在した。本連載第151回で紹介した、「こどもの国」に残されていた最後のダットサン「ベビー」が、日産で修復作業に入った。2015年5月5日、同園の開園50周年記念に間に合わせるためだ。

 筆者は幼少期、「こどもの国」で「ベビー」を自ら運転することが、とても楽しかった。あの時、ワクワクドキドキしたあの気持ちを、いまでも決して忘れていない。その「ベビー」が復活するのだから、筆者としてはとても嬉しい。

 と同時、これを機会に「ベビー」誕生の経緯について、さらに深く知っておきたいと思った。それは筆者個人の自己満足だけではなく、日本の自動車産業史のなかでの“貴重な事実”として、しっかりと記録されていなければならないと考え、取材を進めた。

 その一環として、日産のデザイン本部長・チーフクリエイティブオフィサーで常務役員の中村史郎氏に日産横浜本社でお目にかかり、「こどもの国」開業当時に日産が全面協力した「子どもクルマ」という発想について、感想を伺った。中村氏は中学生時代、すでにカーデザイナーに憧れていて、自動車関連の書籍を読みあさっていたこと。親戚が乗っていた小型車マツダ「R360」のデザインに魅了されたこと等、クルマ談義に花が咲いた。

「Camatte 匠」を操る子ども。保護者は斜め右後ろに座り、緊急の場合はサイドブレーキ、またはキルスイッチ(電源オフ用)を操作できる。「ドライブ王国2013 in 福島」にて Photo by Kenji Momota

 1時間半の単独ロングインタビューの後半、筆者はトヨタが自社イベント用に開発した、子どもが運転して後席に親を乗せて走る「カマッテ」の画像(右写真)を見せ、こう聞いた。

 「日産は『ベビー』以来、子どものクルマという発想でコンセプトモデル等を作ったことがないと思う。若者のクルマ離れを食い止めるためにも、新世代の『子どものクルマ』という発想はないか?」

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桃田健史 [ジャーナリスト]

日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなど米国レースにレーサーとしても参戦。自動車雑誌に多数の連載を持つほか、「Automotive Technology」誌(日経BP社)でBRICs取材、日本テレビでレース中継番組の解説などを務める。1962年生まれ。著書「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」好評発売中


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