ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略

輸入産業は自らの「円安限界点」を把握しているか?
ユネスコ無形文化遺産となった「和食」の価値を問う

高田直芳 [公認会計士]
【第133回】 2014年5月23日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 先日、テレビを買い換えた。消費増税前に買うべきかどうか迷って、結局、5月の大型連休明けに買うことにした。

 消費増税前にチェックしていた価格と比べたところ、3%以上も下落していた。増税前の駆け込み需要に躍らされなくてよかったようだ。

 ニッポンの金融政策は現在、インフレ・ターゲット論を採用している(日本経済新聞、2013年5月27日付「池上彰の必修教養講座」)。賛否両論ある政策だが、いまでは賛成派が多数を占める。

 しかし、日銀が目指す物価上昇は、はたして「善」なのか。

 実際にモノを購入する消費者の立場からすれば、モノの価格は安いほうがいい。スーパーマーケットの店頭に並ぶ商品の値札が、4月以降、軒並み値上がりしているのを見ていると、インフレ・ターゲット論は「偽」または「誤」のような気がしないでもない。

 安くなったといえるのは、レタスくらいか。顧問先を訪ねると、レタスの「現物給付」を受けることが多いので、冷蔵庫がレタスで溢(あふ)れかえってしまった。

 食品の価格が総じて高くなったと感じるのは、円安のせいもあるだろう。ニッポンの食糧自給率が低下傾向にあれば、それは輸入の増加を意味する。円安は、海外から輸入される食材の価格上昇をもたらす。

 農林水産省のウェブサイトでは、「平成24年度食糧自給率をめぐる事情」が公開されており、その2頁目に次の図表が掲載されていた。

 〔図表 1〕の右端を見ると、平成24年度(2012年度)の食糧自給率(カロリーベース)は39%にまで低下している。ニッポン人の主食である米の自給率が97%であるにもかかわらず、全体では39%にとどまるとなると、食卓に並ぶ食材の大半は「輸入もの」になるのであろう。

 「平成24年度食糧自給率をめぐる事情」に掲載されている他の資料で個々の自給率を見ると、果実33%、畜産物16%、小麦13%、そして油脂類に至っては3%にすぎないことが記載されていた。

 食糧自給率がこれほど低いと、円安の直撃を受けて価格が上昇するのも当然のことといえる。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

高田直芳 [公認会計士]

1959年生まれ。栃木県在住。都市銀行勤務を経て92年に公認会計士2次試験合格。09年12月〜13年10月まで公認会計士試験委員(原価計算&管理会計論担当)。「高田直芳の実践会計講座」シリーズをはじめ、経営分析や管理会計に関する著書多数。ホームページ「会計雑学講座」では原価計算ソフトの無償公開を行なう。

------------ファイナンスの基礎知識が満載!------------
  ★高田直芳ホームページ『会計雑学講座』


公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略

大不況により、減収減益や倒産に直面する企業が急増しています。この連載では、あらゆる業界の上場企業を例にとり、どこにもないファイナンス分析の手法を用いて、苦境を克服するための経営戦略を徹底解説します。

「公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略」

⇒バックナンバー一覧