2040年に20~39歳の女性の数が49.8%の市区町村で5割以上減り、推計対象の全国約1800市町村のうち523では人口が1万人未満となって消滅するおそれがある――。先月、日本創成会議・人口減少問題検討分科会の発表したこの推計に大きな衝撃が走った。政府は「50年後(2060年代)に人口1億人程度を維持する」との中長期国家目標を設けるとしているが、こうした推計もあるなかで人口減少問題を放置すれば、どのような未来が待っているのか。日本創成会議・座長を務める東京大学公共政策大学院・増田寛也客員教授が、人口減少ニッポンの壮絶な未来を語った。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 原英次郎、林恭子)
地方の消滅、加速する東京一極集中
「極点社会」化した日本の衰退
――日本創成会議は、先日発表された「ストップ少子化・地方元気戦略」の中で2040年の人口推計を明らかにしました。今回の推計と提言をまとめられた狙いをお教えください。
1951年生まれ。東京大学法学部卒、旧建設省へ。95年岩手県知事に初当選し、3期務める。2007年総務相に就任。2009年から野村総合研究所顧問や東京大学公共政策大学院客員教授を務める。
これまでも国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の将来人口予測によって、人口減少が進み、今から26年後2040年には人口が1億700万人になると言われてきました。ただ、各地域はどのような姿になるかなどを示した具体的な資料がなかったため、あまりピンとこない方も多かったと思います。そこで、より具体的なデータを出し、できれば一般国民全員に、少なくとも政策に携わる人たちに、データを元に議論してもらうのが今回の狙いでした。
私が岩手県知事の頃から、子どもの減少に伴う小学校の統合が急激に進んでおり、人口減少社会は避けられないという一種、覚悟がありました。しかし、それを超えた人口急減社会になり、地方がいっぺんに消滅してしまうのではないかという危機感がいま生まれています。他方、東京では過密が止まらず、人口を吸い込むブラックホール現象が進んで「極点社会」となり、独自の問題を抱えたままで立ち往生しています。そして最終的には地方からの人口流入がなくなって、東京も衰退がはじまると予測できます。そうした問題を解消するためにも、今回の具体的なデータに基づいた議論を望んでいます。
このままでは「待機介護老人」が激増!
東京から地方への人口移動を
――では、改めて40年までに起こる人口減少の特徴をお教えください。
今回我々は、20代~30代の女性が2010年から40年にかけて半減する市町村を「消滅可能性市町村」と定義しています。また、人口が2040年に1万人を切る市町村は、消滅可能性が極めて高いとしています。若い女性の数が半数以下になり、2040年に人口が1万人を切ると、高齢者は亡くなる一方で、生まれてくる子どもの数は数十人から数百人に留まるため、人口は急減していくことがわかります(編集部注:「人口移動が収束しない場合の全国市区町村別2040年推計人口(地図化)」を参照)。