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自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい
【第15回】 2014年6月25日
著者・コラム紹介バックナンバー
河合江理子 [京都大学国際高等教育院教授],高橋俊介 [慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任教授]

特別対談 
リスクを避けてばかりでチャンスを逃していないか?
キャリアの選択は損得よりも「直感力」で決めなさい
慶應義塾大学政策・メディア研究科特任教授・高橋俊介×京都大学大学院生存学館(思修館)教授・河合江理子

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ともに東京教育大学附属高校(現筑波大学附属高校)の出身であり、アメリカに留学し、マッキンゼーでキャリアを積み、現在は大学で教鞭を執るという多くの共通点を持つ慶應義塾大学特任教授・高橋俊介氏と京都大学教授・河合江理子氏。日本を知り、世界を知る二人から、日本の就職活動やキャリア教育に対する違和感、世界で通用する人材を育てるために必要なことなどが語られる。河合氏と高橋氏による対談は全3回。

キャリアの80%は偶然の出来事が決める

高橋 いまの学生は、とても功利的になっています。損得でものを考える。たとえば、思いきって海外に留学することにしても、結果的にどういう形で自分のキャリアに資するかなんて、やってみないとわかりません。でも、やってみなければわからないことを、やる前に損得で考えてしまう。

河合 それはあると思います。

高橋 リスクばかり高くて、どれだけいいことがあるんだって考えるのだと思います。でもね、時間が経てば、いろいろな要素が長期にわたって変わってくるわけですよね。もちろん、マイナス面もある。そんなことを、その時点の自分が持っている情報で的確に判断できるわけがありません。

河合『自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい』(ダイヤモンド社)で書いてあるように、私の場合、ハーバード大学を卒業して日本に帰国した最初の就職先では、アシスタント的な仕事で本当にがっかりしました。ただ、いまの自分があるのは留学したからだと思っています。自分のやりたいことを若いときにできたのが本当に役立っています。

高橋 損得で考えれば考えるほど消極的になり、結果的には自分にとって損となる決断をするようになります。でも、やってみないとわからないことのほうが圧倒的に多いにもかかわらず、いまわかっている範囲の損得で考えてしまう。結果、損な決断を繰り返していく、というパターンになっていますね。

 おそらく、自分の人生、自分のキャリアは自分で決めて、自分一人でつくっていけるという大きな誤解がそこにあるのが最大の理由だと思います。それはできないんだ、ということをまず認めなければいけません。

河合 それは、クランボルツ教授の話につながりますね。

高橋 そう。スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授によると、自分のキャリアの80%くらいまでは、偶然の出来事によって左右されていることが明らかになっています。つまり、ほとんどが自分でもわからない偶然に左右されるわけです。いまわかっている情報だけで、海外に行くことが得か損かとか考えると、結果、損になります。

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河合江理子(かわい・えりこ) [京都大学国際高等教育院教授]

東京都生まれ。東京教育大学附属高等学校(現筑波大学附属高等学校)を卒業後、アメリカのハーバード大学で学位、フランスの欧州経営大学院(INSEAD)でMBA(経営学修士)を取得。その 後、マッキンゼーのパリオフィスで経営コンサルタント、イギリス・ロンドンの投資銀行S.G. Warburg(ウォーバーグ銀行)でファンド・マネジャー、フランスの証券リサーチ会社でエコノミストとして勤務したのち、ポーランドでは山一證券の合 弁会社で民営化事業に携わる。1998年より国際公務員としてスイスのBIS(国際決済銀行)、フランスのOECD(経済協力開発機構)で職員年金基金の運用を担当。OECD在籍時に はIMF(国際通貨基金)のテクニカルアドバイザーとして、フィジー共和国やソロモン諸島の中央銀行の外貨準備運用に対して助言を与えた。その後、スイス で起業し、2012年4月より現職。著書に『自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい』(ダイヤモンド社)がある。

高橋俊介(たかはし・しゅんすけ) [慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任教授]

1954年東京都生まれ。東京大学工学部航空工学科を卒業し日本国有鉄道に入社。84年プリンストン大学工学部修士課程を修了し、マッキンゼー・アンド・カンパニー東京事務所に入社。89年ワイアットカンパニーの日本法人ワイアット(現タワーズワトソン)に入社。93年同社代表取締役社長に就任。同職を退任後、個人事務所ピープル ファクター コンサルティングを通じて、コンサルティング活動や講演活動、企業の人材育成支援などを行う。2000年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授に就任。同大学SFC研究所キャリア・リソース・ラボラトリー上席所員(訪問)を経て、11年11月より現職。

『組織マネジメントのプロフェッショナル』(ダイヤモンド社)、『人材マネジメント革命』(プレジデント社)、『21世紀のキャリア論』(いずれも東洋経済新報社)など著書多数。


自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい

ハーバード大学、INSEAD(欧州経営大学院)、マッキンゼー、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)…そして、京都大学教授。『自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい』の刊行を記念して、書籍では語り尽くせなかったエピソードを中心に、日本・アメリカ・ヨーロッパの本物の世界を知る日本人が、国境を越えて生きるための武器と心得を語る。

「自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい」

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