ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

本当に山形県が一杯食わされたのか? それとも?
“穴あきダム”建設計画で浮上した澱みきった清流の底

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第97回】 2014年6月10日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 ことの本質からはずれた議論をいくらしても意味はない。それは時間の浪費でしかない。だが、世の中には意図的にことの本質に触れないように議論をうまく(?)リードする人たちもいる。

 彼らの狙いは何か。それは自分たちにとって都合の良い結論を導き出すことであり、また議論したとのアリバイづくりでもある。そのために本質を誤魔化したり、矮小化を図ったりする。さらにはすり替えや目くらましといった手練手管を使う。

 こうした狡猾な手法は議論の場だけでなく、演説や記事などにも横行している。それゆえに、細心の注意が必要となる。

組合長の自殺で漁協は方針転換
ついに行われた最上小国川ダムの採決

山形県と最上小国川漁協が対峙し続ける「穴あきダム騒動」。穴あきダムを推し進める山形県と、ダムによらない治水を唱える最上小国川漁協との対峙が続く

 山形県最上町で6月8日、小国川漁協(高橋光明組合長)の総代会が開催された。会場となったのは、廃校となった小学校の体育館。県が計画する「最上小国川ダム」に関する協議と採決が行われ、その結果に注目が集まった(連載第92回第93回参照)。

 最上小国川ダムは、赤倉温泉(最上町)の洪水被害対策として県が建設を推進する治水専用ダムだ。環境への負荷が通常のダムよりは少ないとされる「流水型ダム」(穴あきダム)で、堤高は約41メ―トル。総事業費は約132億円((あくまでも県の試算))とされる。

 これに対し、最上小国川に漁業権を持つ小国川漁協は「ダムによらない治水」を求め、一貫してダム建設に反対してきた。その先頭に立っていた組合長が今年2月に自ら命を絶ち、事態は急展開する。

 漁協のトップ交代と県から漁業振興策が提示されたことがあり、漁協理事会は多数決(6対4)で方針転換を決定した。6月8日の総代会に、「ダム建設やむなし」とする理事会提案の決議案を諮ることにしたのである。

 注目の総代会は非公開で進められ、総代間での協議の後に無記名投票となった。結果はダム受け入れ決議案に賛成が57票、反対が46票。ダム容認が過半数を占めたが、むしろ、着目すべきは賛成が3分の2には届かなかった点にある。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

「相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記」

⇒バックナンバー一覧