ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

少ない情報から中国共産党を知る手がかり
=「集団学習会」から優先課題を読む

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第210回】 2014年6月12日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 先日、日本を訪れた友人がショッキングな感想を述べてくれた。

 「日本の新聞を読むと、毎日、集団的自衛権のことやら、中国の覇権やらを取り上げている。まるで明日にも中国と開戦するような空気だ。今、日本ほど戦争を語っている国は東アジアにはないよ。ベトナムだって中国と本気で軍事衝突を起こすなんて考えていないだろう。中国も国内問題に忙殺され、他国との軍事衝突をたくらむ時間的余裕もないだろう」

 東南アジアを含め、東アジアを結構回った彼だけに、その感想には頷かざるを得ない説得力がある。

 無為無策の胡錦濤・温家宝政権と比べ、外交関係において越えてはいけない一線をはっきりと関係国と画す習近平政権は、見方によっては強硬的に見えるかもしれないが、実際はやはり平和路線を引き続き歩んでいくだろうと私は見る。

共産党の「集団学習会」とは

 透明度が低い中国政府だから、考えていることや目指す方向などについては判断材料が少なすぎることが中国研究の難しさだと思う。しかし、丁寧に探せば、間接的とはいえ、習近平政権の方向性を判断できる資料にたどりつくことができる。たとえば中国共産党中央政治局は、ほぼ定期的に集団学習会を開いている。

 政治局の集団学習会は2002年にスタートし、現在までに92回、平均して約40日に1回の割合で開かれている。全国から各分野の選りすぐりの専門家が12年間で160名あまり、講師として中南海(中国共産党や政府要人の官邸がある地域)に招かれた。ここでは学者の研究成果が完全かつ系統立てて説明され、さらには政策の決定にまで影響する。また、中国共産党指導部の集団学習の内容には、中国の次に進む方向が見え隠れしている。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」

⇒バックナンバー一覧