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保田隆明 大学院発! 経済・金融ニュースの読み方

委任状争奪戦でのマスメディア活用は法規制違反?

保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]
【第3回】 2008年5月27日
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 株主総会が近づいてきたが、ここ数年、この時期になると話題になるのが委任状争奪戦、いわゆるProxy Fight(プロキシー・ファイト)である。大株主と経営陣が株主総会での決議事項で対立し、お互いがほかの株主に自らの意見に賛成してもらおうと一生懸命になる“あの行為”だ。

 この委任状争奪戦が有名になったきっかけは、村上ファンドが東京スタイルや昭栄の株主総会でこれを展開したことにさかのぼるが、両方とも経営陣側の勝利に終わったことで委任状争奪戦は日本では成功が難しいと考えられていた。

 それが、いちごアセットによる東京鋼鐵と大阪製鐵の経営統合への反対キャンペーンが成功し、イオンによるCFSとアインファーマシーズとの経営統合への反対キャンペーンでも成功するなど、委任状争奪戦において株主側が勝利するケースが出てきている。

 これは画期的なことである。今年注目されるのは、TCIによる電源開発(J-Power)に対する委任状争奪戦である。

 さて、この委任状争奪戦のことを、上ではわざと「キャンペーン」と書いたが、経営陣と株主がそれぞれの意見を主張し、ほかの株主に自らの意見に賛同してほしいと願う姿はまさに選挙活動をすら髣髴とさせるキャンペーンにほかならない。しかし、先日、会社法の授業で登場したのだが、ほかの株主に対してマスコミを通じてキャンペーンを行うことは法的にはグレーだという解釈もあるとのことである。

マスコミを通じた
対株主キャンペーンはNG?

 金融商品取引法194条においては、「何人も、政令で定めるところに違反して、金融商品取引所に上場されている株式の発行会社の株式につき、自己または第三者に議決権の行使を代理させることを勧誘してはならない」となっている。この上記「政令で定めるところ」の規定があいまいなため、マスコミでのインタビューなどが規制の対象となるかどうかはグレー、というのが背景だ。

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保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]

1974年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師。リーマン・ブラザーズ証券(東京/ニューヨーク)、UBS証券東京支店で投資銀行業務に携わる。その後、起業、投資ファンド運用等を経て、10年より小樽商科大学大学院准教授、14年より昭和女子大学准教授、2015年9月より現職。雑誌、テレビや講演で金融・経済をわかりやすく解説する。著書は「あわせて学ぶ会計&ファイナンス入門講座」「実況LIVE 企業ファイナンス入門講座」(ともにダイヤモンド社)ほか多数。早大院商学研究科博士後期課程満期退学。
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仕事と両立しながら大学院に通い始めた保田隆明が、大学院で学ぶからこそ見えてきた新しい視点で、世の中の「経済・金融ニュース」をわかりやすく解説する。

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