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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

「野犬」が鋭敏な「猟犬」に変わった
中国民族系自動車メーカーのロシア進出

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第211回】 2014年6月19日
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海外で中国製自動車と出合った瞬間

 2002年12月、取材のため、中東アラブ首長国連邦(UAE)のシャルジーを訪れた。そこで、突如、見慣れない光景が私の目に飛び込んできた。

 当地で開かれていた中国製電機製品の見本市「中国機電製品展示センター」の会場外の広場に、トラックや自動車がずらりと並べられていたのである。会場に行くと、やはり中国製自動車が陣取っていた。長城汽車など当時はまったく無名の自動車メーカーもあった。展示会が始まって2日後、長城汽車に取材を試みると、関係者は興奮した口調で話しまくった。

 「いや、UAEに来る前は持ってきた展示用の車3台を展示中になんとか売れればもう大成功だと思った。しかし、まさか大量に売れるとは予想していなかった。昨日48台売れた。今日はユーザーからの購入意向がすでに200台くらいになっている。私たちの代理店業務を引き受けたいと申し出た現地の会社も現れた」 

 あとで分かったことだが、これは偶然にも中国製自動車の大規模な海外輸出の最初の波と出合った瞬間だった。

私たちは野良犬だ

 そのおかげで私は中国の民族系自動車メーカーに目を向け、奇瑞(本社所在地は安徽省蕪湖市)、吉利(浙江省台州市)、長城汽車(河北省保定市)、哈飛汽車(黒竜江省ハルビン市)、華晨(遼寧省瀋陽市)など、当時日本では全然注目されていなかった民族系自動車メーカーを相次いで訪問した。

 これらのメーカーの本社所在地を見れば分かるように、いずれも中国の最重要都市ではなく、なかには蕪湖や台州のように田舎のイメージすらある地方都市もある。いうまでもなく、これらの企業は当時、中央政府の支持を期待できなかったばかりでなく、製造した車の販売すら認められず、政府から資金的援助も得られないなどさまざまな規制を受けてきた。

 「私たちは野良犬だ。誰も餌はくれない。生まれてから自ら食べ物を探さなければならない。今日なんとか食べ物を確保しても、次の飯がどこにあるのか分からない。こういう環境のなかで成長してきたのだから、外資企業との競争はまったく恐れない」

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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