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生活保護のリアル みわよしこ

なぜ“全国一受給者の多い街”で被保護世帯が減少?
生活保護行政をめぐる大阪市の「暴走」(1)

――政策ウォッチ編・第65回

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【政策ウォッチ編・第65回】 2014年6月20日
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いよいよ、改正生活保護法が施行開始となる2014年7月1日まで、あと10日ほどとなった。改正生活保護法に含められた「扶養義務強化」「就労指導の強化」などは、あるいは生活保護を利用している人々・これから利用しようとする人々・あるいはその周辺の人々に対してどのような影響を及ぼすかは、現在のところ未知数だ。

今回からは3回にわたり、現在の大阪市で既に行われている独自の生活保護行政について紹介したい。今、大阪市で何が行われており、何が問題なのだろうか?

なぜ、大阪市が問題なのか?

 大阪市では、長年にわたって生活保護率の高さが問題とされてきた。2011年に放映されたNHKスペシャル「生活保護3兆円の衝撃(後に書籍化)」でも、当時の大阪市の状況が克明にレポートされている。同番組のWebページによれば、

 「全国一受給者が多い大阪市では、市民の18人に1人が生活保護を受け、今年度計上された生活保護費は2916億円、一般会計の17%近くを占めている。危機感を抱く大阪市は「生活保護行政特別調査プロジェクトチーム」を設置、徹底的な不正受給防止にあたると共に、受給者の就労支援に乗り出している」

 ということだ。

 全国第2の政令都市であり、約260万人が在住する大阪市の生活保護行政の動向は、同様に「生活保護利用者が多い」という問題、さらに言えば深刻な貧困という構造的な問題を抱える各都市・各自治体に、さまざまな意味で参考にされる可能性が高い。また大阪市長・橋下徹氏には、生活保護行政をはじめとする大阪市独自の政策を全国のモデルケースとし、国に対して政策提言を行いたいという意図もあると聞く。

 規模の面だけでも全国に対する影響力が大きい大阪市で、市長にも「全国のモデルケースとしたい」という意図があるとなれば、全国の生活保護行政の今後の可能性の1つとして、大阪市の現状は到底無視できない。

 筆者は、弁護士・元ケースワーカー・支援者など多様な人々で構成される「大阪市生活保護行政問題全国調査団」に同行し、2014年5月28日から5月29日にかけ、大阪市の各区役所・大阪市との交渉・懇談に同席した。また生活保護利用者・支援者などからも現状に関する話を聞いた。

 結論からいうと、現在の大阪市では、生活保護法の趣旨や精神からいって「ありえない」と言うべきことが続発しているのだ。今回からは3回にわたり、大阪市の生活保護行政の現状をレポートする予定である。

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


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急増する生活保護費の不正受給が社会問題化する昨今。「生活保護」制度自体の見直しまでもが取りざたされはじめている。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を知ってもらうことを目的とし、制度そのものの解説とともに、生活保護受給者たちなどを取材。「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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