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対談 漂白される社会
【第9回】 2013年6月3日
著者・コラム紹介バックナンバー
開沼 博 [社会学者],杉坂圭介

飛田新地や西成を“きれい”にして残るものとは?
「漂白される社会」で行き場を失う人たち
【スカウトマン・杉坂圭介×社会学者・開沼博】

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売春島や歌舞伎町のように「見て見ぬふり」をされる現実に踏み込む、社会学者・開沼博。そして、大阪・飛田新地の元遊郭経営者であり、現在もスカウトマンとして活躍する杉坂圭介。『漂白される社会』(ダイヤモンド社)の刊行を記念して、「漂白」されつつある飛田の現在・未来をひも解く異色対談。
第3回では、早朝・深夜労働にさらされる遊郭経営者の実態、敏腕スカウトマンのテクニック、さらに、疲弊する地元商店街の現在が語られた。
「漂白」が進み、行き場を失う西成地区の未来とは——。対談は全4回。

全国的な取り締まりが進む風俗産業

開沼 これまでは、性風俗はもちろん、社会のグレーゾーンに生きる人たちは、完全に違法だったり、社会規範から逸脱するブラックゾーンに足を踏み入れないように、自分たちで引き締めを行い、問題にならないよう対応していた側面がありました。

 ところが、近年進んでいる様々な規制強化には、そうした自主規制と治安維持を壊してしまう可能性もあります。ただ、私は、警察自身もそれをわかったうえでやっているのではないかとも思っています。

 こうして生まれる矛盾、つまり、規制を強化すればするほど新たな課題が生まれて、その課題は以前よりも社会の中で不可視化されてしまう現実があります。杉坂さんは、この「漂白される社会」の落としどころはどこに向かうと思いますか?

杉坂圭介(すぎさか・けいすけ) 大阪府出身。繊維製品卸問屋勤務を経て、飛田新地の料亭経営者へ。10年間店の経営に携わった後、名義を知人に譲り現在女の子のスカウトマンとして活躍している。著書に『飛田で生きる 遊郭経営10年、現在、スカウトマンの告白』(徳間書店)がある。
現在、次回作を執筆中。年内発売予定。

杉坂 どうなるんでしょうかね。ちょうど花博をやるときに、大阪府はソープがなくなっちゃいましたからね。僕はちょっと種類が違うと思うんですけど、飛田のような「ちょんの間形式」では、川崎のガラス張りの個室でしたっけ?あれもたしか完全になくなりましたよね。

 川崎の件を聞いていると、飛田は許可をもらっているから「赤線」だけど、川崎は許可がないから「青線」で、青線だから潰したと。それから、不法入国の外国人を使っていたとかね。京阪神では、唯一かんなみ新地だけが青線なんです。

開沼 外国人を入れることで、ややこしいことが増えるということですか?

杉坂 だと思いますよ。飛田は日本人だけを使っています。その意味では、在日の女の子はすごくグレーな状態です。「使っていい」と言う方と「使ってはダメ」と言う方がいて。僕がやっていた店にはいませんでしたけど、国籍が違うだけのことなんだからと、使っている店も結構ありますけどね。あと、経営者は在日でもオッケーなんですよ。

 本来は、不法入国や、ビザの種類によっては就労規制がある人を働かせないために規制しているはずなんですよ、警察も。風営法も「外国人を使ってはいけない」という法律ではないんです。

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開沼 博(かいぬま・ひろし) [社会学者]

1984年、福島県いわき市生まれ。東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府修士課程修了。現在、同博士課程在籍。福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員。専攻は社会学。学術誌のほか、「文藝春秋」「AERA」などの媒体にルポ・評論・書評などを執筆。
著書に『漂白される社会』(ダイヤモンド社)、『はじめての福島学』(イースト・プレス)、『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』(青土社)、『地方の論理 フクシマから考える日本の未来』(同、佐藤栄佐久との共著)、『フクシマの正義 「日本の変わらなさ」との闘い』(幻冬舎)『「原発避難」論 避難の実像からセカンドタウン、故郷再生まで』(明石書店、編著)など。
第65回毎日出版文化賞人文・社会部門、第32回エネルギーフォーラム賞特別賞。

 

杉坂圭介(すぎさか・けいすけ)

大阪府出身。繊維製品卸問屋勤務を経て、飛田新地の料亭経営者へ。10年間店の経営に携わった後、名義を知人に譲り現在女の子のスカウトマンとして活躍している。著書に『飛田で生きる 遊郭経営10年、現在、スカウトマンの告白』(徳間書店)がある。

 


対談 漂白される社会

売春島、偽装結婚、ホームレスギャル、シェアハウスと貧困ビジネス…好奇の眼差しばかりが向けられる、あるいは、存在そのものが「見て見ぬふり」をされる対象に迫り続ける社会学者・開沼博。『漂白される社会』の刊行を記念して、人々を魅了しつつも、社会から「あってはならぬもの」とされた対象やそれを追い続ける人物と語り合うことで、メディアでは決して描かることのない闇の中に隠された真実を炙り出す。

「対談 漂白される社会」

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