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China Report 中国は今

知られざる東京の華人コミュニティ、“激安”経済の実態

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第27回】 2009年6月11日
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 先日、池袋の中華料理店で、山と積みあがった中国語のフリーペーパー(新聞)の一部を持ち帰った。「日本新華僑報」「東方時報」「陽光導報」などがそれ。まだまだ、相当の種類がある。紙面を開けば、独自のビジネスを展開する華人コミュニティが浮かび上がる。しかも、目からウロコの「激安情報」が満載だ。

 最近でこそ中国人富裕層も増えたが、東京の片隅では、母国への仕送りのためにせっせと稼ぐ労働者層や、生活と闘う留学生もいまだ分厚く存在する。日本でも「究極の生活物価の安さ」がワイドショーネタになったりするが、上には上(下には下?)があるもので、彼らの生活も“究極の安さ”に支えられていることがわかる。

中国人たちが生活する
月額2万5000円の「寮」とは

 まずは家賃の高いこの東京で彼らがどう生き延びているのか。その答えは「寮」にあることがわかった。

 華人新聞には怪しげな広告に混じって、「入寮者募集」「豪華女子寮」など賃貸情報が掲載されている。寮とは何なのか。マンションやアパートとはどう違うのか。名刺大の広告には、物件を特定する住所も会社名もない。連絡先は携帯電話のみだ。「御徒町から徒歩5分、月(月額家賃)2.5万円」とはどんな物件かと早速電話をしてみると、案の定、無愛想な声が出てきた(想定の枠内)。面倒臭そうな応対。これでは客はどっちかわからない。なぜか相手のご機嫌をとる側となり、ようやく物件見学にこぎつけた。

 なんとその部屋は商業ビルの中にあった。貸主は20年近く日本に住むという中国人。1階は店舗、2、3階を各フロア女子と男子に分け、貸し出している。2段ベッド2つとシングルベッド1つ。5人で8畳間を共有。貸しているのは、人間1人が寝られる実質1畳程度のベッド(布団は持参)だった。中国の工場従業員が寝泊りする寮、あの雰囲気とまったく同じだ。

 「うちは毎日掃除してきれいにしてるから。他を見てご覧よ。汚いよ、ホントに」と管理人。

 中にはゴミ貯めと化した寮もあるようだ。

 月額賃料に3000円の光熱費が加算。あとは入居時に1万円を払う(退去時には返還されない)というそれきりの清算。保証人を立てる必要はない。また、仲介会社も入らず、貸主との直接契約だ。1Kで月8万円前後という同地の相場からするとかなり安いし、月額換算すれば1泊3000円程度のカプセルホテルよりも安い。こうした中国人を相手にした「間貸し」のようなビジネスは、山手線沿線のみならず、中央線、東西線などの沿線に無数に広がっている。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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