青い海に入道雲。民家の縁側でのんびりとくつろぐ女性。Webサイトを開くと、飛び込んでくるのは絵に描いたような日本の夏。思わず、「こんなところで昼寝したい……」とつぶやいてしまいそうな風景だ。

農家や漁家、古民家などに特化した宿泊マッチングサイト「とまりーな」。東北を中心に、現在全国へエリアを拡大している

 いま、若者の間で静かな人気を呼んでいるのが「とまりーな」。農家や漁家、古民家などに特化した宿泊マッチングサイトである。旅館やホテルのようにサービス提供が主体ではなく、地域に暮らす人々と交流ができる小さな宿、いわゆる「民泊」を専門に扱っている。

 野菜や果物の収穫、炭焼き、山菜採り、漁師体験、釣り、山歩きなど、どの宿も“何ができるか”を売りにしており、キャッチフレーズは「お気に入りの田舎を見つけよう」だ。

 掲載される宿は大半が家族経営。農業や漁業との兼業が多く、営むのは年配のご夫婦が多い。自ずと、親戚の家を訪ねた気分で田舎の生活を楽しみ、日頃の疲れや垢を落とす――そんな旅を望む人が対象になる。

「日頃の悩みも聞いてもらい元気になりました。また来たいと思った家でした」

「色々なお話をしているうちに、こちらがおもてなしを受けたようで存分に元気を頂きました。いつでも帰ってきてください。待ってますよ」

 サイトには宿泊者とのやりとりがレビューとして掲載されているが、どの宿もどこか往復書簡のような温もりがある。「地元の飲み会に飛び入り参加させてもらった」「移住した人に会った」「漁船に乗せてもらった」「地元の人しか知らない絶景の場所へ車で連れていってもらった」「ゆっくりと仕事の悩みを聞いてもらった……」。

 お客さんとのやりとりというより、仲良くなった友人同士のやりとりのようだ。この親密さが、人気の秘訣といっていい。