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日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ

アップルやグーグルにやられっぱなしはもう嫌だ!
技術で勝って、事業にも勝とう!「Think Forest」

松本晋一 [株式会社O2/株式会社XrossVate/株式会社安田製作所代表取締役]
【第11回】 2014年7月2日
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なぜソニーはiPodをつくれなかったか?
技術者集団には難しかったアップル的発想

 「この程度の音質では怖くない」

 ソニーのオーディオ開発において、責任ある立場の方がiPodを聞いて発した言葉だ。

 この言葉ほど「技術で勝って、事業で負ける」 由縁を端的に言い表している言葉はないのではないか。iPodの価値は音質にはない。「いつでも、どこでも、好きな音楽をワンクリックでダウンロードできる。そして、自分だけのジュークボックスを手軽につくれる」こんな体験に価値がある。

 アップルはiPodというモノではなく、体験という価値を製造している。アップルはモノをつくるが「モノづくり企業」ではない。「価値づくり企業」だ。

 「なぜ、ソニーがiPodをつくれなかったのか?」

 日本人として、日本企業であるソニーに世界的ヒット商品をつくって欲しかった。ウォークマンを創り出したソニーであれば、世の中をワクワクさせる製品を開発できたはずだ。我々のソニーにこそ、iPodを出して欲しかった。そう思う日本人は多かったはずだ。

 負け惜しみではないが、iPodであればソニーにもつくれたはずだ。しかし、iPod+iTunesのプラットーフォームを創り出すことは難しかっただろう。ソニーを庇うわけではないが、プラットフォーム構築のようなシステム思考は、モノづくりだけを行ってきた技術者集団には、発想しにくかっただろう。

 ジョブスのように、芸術的才覚があり、技術への造詣も深く、かつ経営者として事業全体を俯瞰的に眺める立場にいた人物だからこそ、iPod+iTunesは発想し得たのだ。しかしここで留意したいのは、ジョブスだからできた、ジョブスがいないからできない、ということではない。プラットフォーム事業を発想し得るような人材は、才能だけではなく環境次第で育てることができるのだ。

 では、どうすればソニーはアップルになれるのか。筆者が提唱する「Think Forest」思考をベースに、そのヒントを話していきたい。

 日本人はゴールや目的から考えることが苦手と言われる。どちらかと言えば、事実を積み上げて結論を導き出す思考が強い。全体から考えず、部分ばかりに意識が向いてしまう。

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松本晋一 [株式会社O2/株式会社XrossVate/株式会社安田製作所代表取締役]

株式会社O2(オーツー)株式会社XrossVate(クロスベイト)株式会社安田製作所代表取締役。1970年生まれ。千葉県出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。大手化学メーカー、外資系ITベンダーのディレクター、コンサルティングファームのディレクターなどを経て、2004年株式会社O2を設立、代表取締役就任。2013年に新会社XrossVateを設立。2014年に射出成型用金型メーカ株式会社安田製作所に出資を行い経営参画。


日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ

日本の製造業は危機に瀕していると言われて久しい。様々な業界関係者が口にする「日本企業は技術で勝っても事業で負けている」という言い訳は、本当に正しいのか。実は、日本のゲンバにはもっと根深い本質的な課題がありそうだ。日本企業の5重苦、7重苦の原因は、日本の技術力の低下そのものにあり、その原因は大きく「技術伝承」の放置と悪い意味での「部分最適思考」の2つにある。製造業を中心に大手企業のコンサルティング業務を手がけ、企業のゲンバと深い付き合いを続けてきた株式会社O2(オーツ―)の松本晋一代表取締役が、“超高速すり合わせ型”モノづくりの極意を説く。

「日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ」

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