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出口治明の提言:日本の優先順位

混学のススメ――大学改革は学生をどこから集めてくるかがカギ

出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]
【第122回】 2014年7月15日
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 先日、とある公立大学に講義に伺った際、学長と小一時間ばかりお話しする機会があった。学長は、こう言われた。「少子高齢化の現状では、学生をどこからどうやって集めてくるかが本当に大変です。学生数が減れば、大学はこのままの姿では生きていくことができないのですから」と。確かにそれはその通りであろう。大学改革については当コラムでもこれまでに何度か取り上げてきたが、今回は「学生をどこから集めてくるか」という一点に絞って論じてみよう。

グローバルを目指すなら
秋入学と英語での講義が車の両輪に

 仮に学生を18才前後の若者と定義する。わが国の年少人口は減り続けている。大学進学率を一定に置くと、学生の数は減り続けるという答えしか出てこない。そうであれば、大学を国際化して、世界各国から18才前後の若者を集めて来ようという発想しか残されていないということになる。これが大学の国際化である。

 グローバルを目指すなら、しかし、2つの関門があることを忘れてはならない。世界の優秀な若者は、実は、世界中で取り合いになっている。極論すれば、世界中の優秀な大学が、若者の分捕り合戦を行っていると考えた方がわかりやすい。世界の大学の大勢は秋入学である。そうだとすれば、わが国の大学が春入学を継続して世界中の若者にアピールできるはずがない。悔しいかもしれないが、デ・ファクトになってしまったものはもはや取り返しがつかないのだ。グローバルを目指すのなら秋入学への切り替えは必須である。

 これが最初の関門であるが、2つ目の関門は英語による授業である。リンガ・フランカは既に英語の時代になって久しい。これも残念ながらデ・ファクトである。デ・ファクトについては合わせるしか方法がないのだ。しかも日本の大学の国際競争力は低い。東大(25番程度)と京大(50番程度)の2校がかろうじてトップ100にとどまっているという窮状である。

 このレベルの競争力で、しかも世界ではほとんど使えない日本語を勉強するというハンデを自ら克服して、わが国に世界中の優秀な学生が集まってくると考えることはできない。秋入学と英語での授業という2つの関門を突破した上で、大学の国際競争力を相当嵩上げしないと、世界中から優秀な学生を集めてくるという方策は、絵に描いた餅に終わってしまうだろう。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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