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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

筆者が「追加緩和なし」と見る3つの背景
~年内の焦点は「フォワードガイダンス」へのシフト
――森田京平・バークレイズ証券チーフエコノミスト

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]
【第142回】 2014年7月16日
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メインシナリオは「追加緩和なし」
その3つの背景とは?

 筆者は日銀の金融政策について、「追加緩和なし」をメインシナリオと見ている。その背景として、①日銀が物価安定目標に対して強い確信を持っている、②潜在成長率の上昇がまだ視野に入らない中では、「CPI前年比2%」という物価目標に固執することに一定のリスクがある、③5月9日に日銀が発表した法定準備金積み増し方針のインプリケーション、などが挙げられる。

 ①は追加緩和の可能性ないし必要性を下げるという点から、「追加緩和なし」というシナリオにつながる。②と③は、金融政策の限界や追加緩和のコストという点から「追加緩和なし」というシナリオにつながる。

物価安定目標の実現に
対する日銀の強い確信

 結局のところ、金融政策の予測は日銀がCPIをどのように見通すかにかかっている。この点で、「2年でCPI前年比+2%」という物価安定目標に対して日銀が今なお強い確信を持っている点は、考慮されなくてはならない。

 むろん、現在の金融政策が経済主体の期待を変えることに重点を置いている以上、物価安定目標の実現に対する強い確信を示すこと自体が、そもそも「政策の一環」である点は忘れることはできない。その点を踏まえても、やはり日銀は非常に強い確信を持っているようだ。

確信の背景:
フィリップス曲線の上方シフト

 その背景として、フィリップス曲線が上方シフトした始めた可能性を指摘できよう。縦軸にコアCPIの前年比変化率、横軸に需給ギャップ(ただし2四半期先行)をとると、右上がりの関係が描ける。これがフィリップス曲線だ(図表1参照)。

注:1. 需給ギャップ(%)=(実績GDP-潜在GDP)/潜在GDP×100
  2.コアCPIは生鮮食費を除く総合CPI(消費税率引き上げの影響は除く)
出所:総務省『消費者物価指数』、内閣府資料よりバークレイズ証券作成
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森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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