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齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

【新連載】
私が日本の可能性を信じている理由

齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]
【第1回】 2014年7月28日
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イノベーションをリードするのは
いつも若い世代

 私がとくに期待を寄せているのが、日本の若い世代です。

 歴史的に見ても、米国のマンハッタンプロジェクトやアポロプロジェクトは、それぞれ30万人の人間が集められましたが、その平均年齢は27歳。マイクロソフトやシスコ、フェイスブックでも、創業者の平均年齢は27歳です。時代の最先端のイノベーションをリードしてきたのは、いつも27歳前後の若い世代なのです。

 日本でも、本来ならば、かつての私のように無名の若者であっても、技術力や熱意さえあれば、大企業から仕事をもらえてもおかしくないはずです。

 しかし残念ながら、今の日本では、若者や女性の登用といったダイバーシティはかなり遅れています。

 私は現在、日本のベンチャー企業19社に投資していますが、うち15社の社長が女性です。女性のほうが圧倒的にビジネス力があり、コミュニケーションも長けているように感じています。

 ハーバード大学のポジティブ心理学者、タル・ベン・シャハーによると、18歳の若年世代がどれだけ社会に希望や夢を持てるかによって、その国の将来が決まるそうです。ですから、私たち先輩世代には、若い世代に希望を与え、リードしていく責任があります。この点も経営者やビジネスパーソンはしっかり自覚しておいてほしいですね。

ものづくり神話にすがるな!
「パーツ屋」では生き残れない

 日本の企業に関して心配なのは、輸出に占めるパーツやコンポーネントの比率が高くなっていて、そうした企業の利益率が低下していることです。

 たとえば、iPhoneでは新機種が投入されるにつれ、日本の部品メーカーの採用率がダウンしていて、このままでは日本がパーツ屋ですらなくなる可能性があります。

 なぜかというと、日本はいろいろな技術を開発してきましたが、現在では技術革新によって優れた機械を使えば、どこの国のメーカーが作っても同じようなものが作れてしまうからです。“ものづくり”は日本のお家芸ですが、それだけでは労働力が豊富な中国などの新興国に負けるのは火を見るよりも明らかです。

 スマイルカーブでいうと、生産システムに組み込まれる中流ではなく、オンリーワンの製品(下流)を目指すビジネスモデルに変えていくべきです。

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齋藤ウィリアム浩幸
[内閣府本府参与]

さいとう・ウィリアム・ひろゆき
1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。同大学ロサンゼルス校(UCLA)卒業。高校時代に起業し、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年に会社をマイクロソフトに売却してからは日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカーを設立。有望なスタートアップ企業を育成している。12年には、総理大臣直属の国家戦略会議で委員を拝命し、国会事故調査委員会では最高技術責任者を務めた。また13年12月より内閣府本府参与に任命されている。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2011」選出。2015年6月より、パロアルトネットワークス合同会社副会長に就任。著書に『ザ・チーム』(日経BP社)、『その考え方は、「世界標準」ですか?』(大和書房)。


齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

歴史的に、世界に挑むチャレンジ精神は本来、日本人が持っていた気質。しかし今の時代、日本のお家芸“ものづくり”だけでは新興国に負けるのは火を見るよりも明らかだ。成長へと反転攻勢に転じるために必要なものは何か――。それは革新的なイノベーションを起こすための「世界標準の思考」に他ならない。気鋭の起業家であり、技術者である筆者が、日本が再び世界をリードしていく道はなにかを説く。

「齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機」

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