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齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

【新連載】
私が日本の可能性を信じている理由

齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]
【第1回】 2014年7月28日
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 たとえば、人の話す音声言語をコンピュータによって解析し、内容を文字データにする「音声認識技術」の場合。一昔前は、周囲の雑音が多い環境化では音声認識率が非常に悪く使えませんでした。

 しかし、シンギュラリティの第一人者レイ・カーツワイル氏は、コンピュータの計算能力は加速度的に向上していると主張しています。多少聞こえづらく、複雑な文章であっても、前後関係や状況からコンピュータ自らが判断して文章を認識し、それに対する情報を探しだす時代は、我々の予想を越える速さでやってくることでしょう。

 こうした先を読む目を持たないと、イノベーションの方向性を間違える可能性があります。

 今後の日本で有望視できるジャンルを挙げるとすれば、私の専門分野でもある「サイバーセキュリティ」です。世界水準からは遅れていますが、そのぶんゼロから自由な発想で開発できるのが強みです。

 日本製サイバーセキュリティの優れた性能を東京オリンピックで実証できたら、新しい産業を生み出すことができるでしょう。世界の日本に対する「安全・安心・信用の高さ」は大きな財産ですが、これを活かすことができるのも大きなメリットです。

世界に挑むチャレンジ精神は、
本来、日本人が持っている気質

 今、国際的なブランドになっている日本の自動車メーカー・電機メーカーは、土地も資源も限られているというハンデを抱えながら、目の前のほんの小さなチャンスをものにして、世界企業へと成長してきました。世界に挑むチャレンジ精神は、本来、日本人が持っている気質。だからこそ、私は日本の可能性を信じているのです。

 日本は再び輝きを取り戻すために、動き出さなければなりません。そのカギとなるのが「世界標準の思考」です。

 次回からは、グローバルな視点からみた日本の欠落点と、それを克服したときの勝機について個別に問題提起していきたいと思います。

※ご意見・ご感想は、齋藤ウィリアム浩幸氏のツイッター @whsaito まで。

(構成/河合起季)

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齋藤ウィリアム浩幸
[内閣府本府参与]

さいとう・ウィリアム・ひろゆき
1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。同大学ロサンゼルス校(UCLA)卒業。高校時代に起業し、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年に会社をマイクロソフトに売却してからは日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカーを設立。有望なスタートアップ企業を育成している。12年には、総理大臣直属の国家戦略会議で委員を拝命し、国会事故調査委員会では最高技術責任者を務めた。また13年12月より内閣府本府参与に任命されている。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2011」選出。2015年6月より、パロアルトネットワークス合同会社副会長に就任。著書に『ザ・チーム』(日経BP社)、『その考え方は、「世界標準」ですか?』(大和書房)。


齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

歴史的に、世界に挑むチャレンジ精神は本来、日本人が持っていた気質。しかし今の時代、日本のお家芸“ものづくり”だけでは新興国に負けるのは火を見るよりも明らかだ。成長へと反転攻勢に転じるために必要なものは何か――。それは革新的なイノベーションを起こすための「世界標準の思考」に他ならない。気鋭の起業家であり、技術者である筆者が、日本が再び世界をリードしていく道はなにかを説く。

「齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機」

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