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第2次リストラ時代(!?)に贈る 私が「負け組社員」になった理由

「正社員になりたい」強い思いが裏目に・・・。
10年間会社と対立を続ける、パート社員の「孤独な闘い」

人事部からは煙たがられ、同僚からも理解されない西田氏のケース

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第6回】 2009年1月19日
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 「正社員になりたい」――いまの時期に、こう思う人は少なくないだろう。たしかに正社員は非正社員よりも、雇用はある程度は安定している。だからこそ、その思いを伝えることは大切。しかし、その伝え方を誤ると、会社全体を敵に回すことはありうる。

 今回は、優秀なパート社員が、正論を述べながらも孤立していく様子を紹介する。

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■今回の主人公
西田 佳子 仮名(56歳 女性)
勤務先: 信用金庫Cは地方の主要都市に本店を構え、店舗数は26。行員数は600人。(正規は75%、非正規は25%)信用金庫の中では預金量が多く、経営状態は比較的、良好だった。しかし、ここ10年の間、非正規職員を増やしてきたために、それに伴い、問題が生じていた。
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(※この記事は、取材した情報をプライバシー保護の観点から、一部デフォルメしています)

非正規から正規への、
“名ばかり”の転換試験

 「正規職員への転換試験の説明会に、ご参加いただきましてありがとうございます。さっそく、お手元にある資料をご説明させて……」

 本店3階にある大会議室に、人事部の部長代理の声が響く。フルタイム(月~金まで午前9時から午後5時まで勤務)で働くパートタイマー30人前後が聞き入る。

 西田佳子(56歳)が大きな声を出した。

 「なぜ、いまさら、正規職員の試験を設けるのですか?」

 部長代理は西田の顔を数秒見たあと、またうつむいて説明を続ける。

 「非正規職員のみなさんには、これまで以上にご活躍をいただき……」

 西田が再び、大きな声を出す。

 「私が正規職員への転換を求めたのが、もう10年近く前でした。結局、相手にされなかった。ところが、パートタイム労働法が改正されると、一転して非正規職員から正規職員への転換試験を設ける。ずいぶんと矛盾がありますね」

 部長代理は、顔を少し上げたあと、苦笑いをする。室内に、何人かのパートの失笑が聞こえる。さらに、西田がまくし立てる。

 「結局、“格差是正世論”が怖いのですね」

 西田は、労働組合「〇△ユニオン」の執行委員である。10年程前に、「パート行員は賃金が低すぎる」という不満を抱え、この労組に入った。この信用金庫の職員で「〇△ユニオン」の組合員は、西田ひとり。

 当初、行内にある労働組合に相談をした。だが、正規行員のみが参加する組合である。執行委員からは、「非正規行員の労働条件について経営側に改善を強く求めることはできない」と相手にしてもらえなかった。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


第2次リストラ時代(!?)に贈る 私が「負け組社員」になった理由

会社から冷遇され、気がつくと「負け組」となってしまった人たちを毎回取材。彼らの実体験を振り返ることで、企業の冷酷さだけでなく、自己防衛できなかった敗因を分析。第2次リストラ時代で生き残る術を探る。

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