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嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え
【第14回】 2014年7月29日
著者・コラム紹介バックナンバー
岸見一郎 [哲学者]

アドラー心理学が教える
幸せに生きるための3つのヒントとは?
宮台真司×神保哲生×岸見一郎 鼎談第2弾(後編)

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私たちが信じていた常識を次々とくつがえすアドラー心理学。『嫌われる勇気』はその理論をわかりやすく解説して37万部のベストセラーに! 同書の著者・岸見一郎氏が、宮台真司氏、神保哲生氏とインターネット放送番組「マル激トーク・オン・ディマンド」で繰り広げたトークセッションの後編をお送りする。「共同体感覚」とは何か? そしてアドラー心理学が教える「幸せに生きるための3つのヒント」とは?

共同体感覚を
身につけるための3条件

神保哲生(以下、神保)第13回でも取り上げたアドラー心理学の重要なキーワード「共同体感覚」を身につけるにはどうすればよいのか。『嫌われる勇気』には3つの条件が書かれています。「自己受容」「他者信頼」「他者貢献」の3つですね。岸見先生、これについてご説明いただけますか。

岸見一郎(以下、岸見) どのようなときに自分を受け入れられるかといえば、自分が役立たずではなく、誰かの役に立てている、つまり貢献できていると思えるときです。そして、誰かに貢献したいと思うなら、その相手は「敵」ではないでしょう。「仲間」として信頼できるからこそ、その人に貢献したいと思う。ということで「自己受容」「他者信頼」「他者貢献」の3つはワンセットなんです。

共同体感覚を身につけるための「自己受容」「他者信頼」「他者貢献」は3つでワンセットだと岸見氏。

神保 最初の「自己受容」というのはどういう感覚ですか。今のままの自分でいいということでしょうか。

岸見 先ほどの言葉で言えば「自分に価値がある」と感じられるということです。今のままでいいというより、「この私しかいないのだから、とりあえずそこから始めよう」ということですね。

神保 この私しかいないから……。

岸見 「自分に価値があると思えるときに人は勇気を持てる」とアドラーは言います。どのような勇気かというと、対人関係に取り組む勇気です。しかし自分に価値があると思えない人は他者の中に入っていこうとしない。

神保 自分に価値があるとなかなか思えない人はどうすればよいのでしょう。

岸見 難しいですね。自分に価値があると思ってはいけないと決心している人さえいますから。

神保 どういうことですか。

岸見 自分に価値があると思えば人との関係のなかに入っていかなければなりません。それが恐い人は、自分に価値があると思うと都合が悪いわけです。たとえば、好きな異性ができたとします。でも、その異性に自分の気持ちを打ち明けたからといって、相手も好きだと言ってくれる保証はありません。そこでフラれる経験をするくらいなら初めから人と関わらずにおこう、そのためには自分に価値があってはいけないと思うわけです。これはけっこう厄介です。

神保 なるほど。

岸見 そういう人たちに自分を好きになってもらうためには、「他者貢献」という部分でアプローチします。アドラーは先の言葉に続けて、「共同体に貢献していると感じられるときに、自分に価値があると思える」と言っています。つまり、自分は役に立っている、貢献していると感じられることで、自分に価値があると思えるように援助するのです。

神保 他者貢献っていうのは具体的にどんなイメージですか。どんなことをすると他者貢献ができていると感じられ、それが自己受容につながるのでしょう。

岸見 行為のレベルだとよくわかります。誰かに役に立つことをすればいい。

神保 いわゆる人助けみたいなことでいいですか。

岸見 そうしたことも含め、自分が何かをしたら喜んでもらえたという経験です。ただ、もう一つあって、存在のレベルで貢献するということもあります。

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岸見一郎[哲学者]

きしみ・いちろう/1956年京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。専門の哲学(西洋古代哲学、特にプラトン哲学)と並行して、1989年からアドラー心理学を研究。精力的にアドラー心理学や古代哲学の執筆・講演活動、そして精神科医院などで多くの“青年”のカウンセリングを行う。日本アドラー心理学会認定カウンセラー・顧問。


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フロイト、ユングと並ぶ心理学界の三大巨頭とされながら、日本では無名に近いアルフレッド・アドラー。彼はトラウマの存在を否定したうえで、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、対人関係を改善する具体策を示してくれます。まさに村社会的空気のなかで対人関係に悩む日本人にこそ必要な思想と言えるでしょう。本連載では、アドラーの教えのポイントを逐次解説することでわかりやすく伝えます。

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