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「婚迷時代」の男たち

夫よりも、自分の家族を優先?!
「妻の実家」に振り回される夫たちの悲鳴

――「嫁いびり」から、「婿いびり」の時代へ?

西川敦子 [フリーライター]
【第6回】 2009年4月17日
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 「困るわね、そんなに子育てに非協力的では。おむつもちゃんと替えてくれないんですって? あまりにも娘が可哀想ですよ。あのね、私も主人も、『別れたかったら我慢しないで、すぐ子どもを連れて帰っておいで』って、いつもそう言っているのよ」

 くどくどと小言を繰り返す義母に、松永謙一さん(仮名・30代)は言いたい言葉をぐっと飲み込み、頭を下げた。

 「私がいたらなくてご心配をおかけしました。連れて帰りたいので、彼女に会わせてください」

 妻の実家は、手広く事業を手がけてきた裕福な家庭。お互いに仲がよく、旅行や買いものにも必ず連れ立って出かける。妻は「親友はママとお姉ちゃん」と公言しており、学生時代からとくに友人も作らなかったほどだ。

 結婚後もそんな調子で、始終実家に遊びに行く。それだけならいいのだが、夫婦喧嘩すると実家に戻ったきり、なかなか帰ってきてくれない。そのたびに迎えに行って謝らねばならず、いい加減うんざりしていた。ようやく連れ戻しても「パパもママもあなたのことおかしい、許せない、って言ってた」などと責め立てられると、「じゃあ最初から結婚なんかせずに、実家にいればよかったのに」と思ってしまう――。

 姑の嫁いびりはいつの時代も変わらずはびこっているが、近頃は、婿いびりに悩む男性も少なくない。妻の家族になにかと干渉される「ファミ婚」にはまるケースがよく見られる。

 背景にあるのは不況だろう。とくに若い夫婦の場合、相当な節約生活を余儀なくされる。だが実家に戻れば、結婚前の暮らしを再現できるため、ついつい両親のもとに足を向けてしまう妻が多いのではないか。 

小林美智子さん
NPO夫婦問題相談チェンジの小林美智子さん

 夫婦関係のカウンセラーで、NPO夫婦問題相談チェンジの小林美智子さんは、「それだけではない」という。

 「実家の家族とは同じ価値観を共有しているので、一緒にいてラクなのでしょう。しかし、それは裏返せば、他人の価値観は認められないということ。こうした女性には、子どもの頃から友だちづきあいが苦手でうわべだけの交際しかできない人が多い。当然ながら、夫という他人の価値観や生活スタイルも受け入れられないわけです。

 だから、夫と意見が食い違えばすぐ実家にあらいざらぶちまけて、賛同を得ようとする。同じ価値観を持つ親は、もちろん娘の味方をするので、『やっぱり彼は夫としておかしい』ということになってしまうんです」

夫を顧みない
「一卵性母娘」たち

 妻とその母親に翻弄される「マザ婚」も少なくない。

 原りえさん(仮名・30代)は1児の母親だが、背のすらりと高い知的な美人。話し方や仕草にも気品があり、「さぞやいいお家のお嬢様なのだろう」と感じさせる。小首をかしげながら「私と母って昔から姉妹みたいに仲がいいんです。いわゆる一卵性母娘かもしれませんね」という。

 結婚して最初の新居は、実家から歩いて10分くらいのマンション。その後、子どもが生まれて引越ししたが、やはり同じ市内に住んでいるそうだ。

 「だから、毎朝夫を送り出すとすぐ子どもを連れ、自転車で実家に行きます。母とパッチワークを作ったり、買い物に出かけたりして、楽しく過ごすんです。夫は遅くなることが多いので、夕食もたいてい一緒ですね」

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西川敦子 [フリーライター]

1967年生まれ。上智大学外国語学部卒業。編集プロダクション勤務を経て、独立。週刊ダイヤモンド、人事関連雑誌、女性誌などで、メンタルヘルスや介護、医療、格差問題、独立・起業などをテーマに取材、執筆を続ける。西川氏の連載「『うつ』のち、晴れ」「働く男女の『取扱説明書』」「『婚迷時代』の男たち」は、ダイヤモンド・オンラインで人気連載に。


「婚迷時代」の男たち

仁義なき最新の婚活事情から、結婚をビジネスにする企業、結婚生活や離婚の実態までを徹底取材。「結婚」という2文字に翻弄される男たちの姿を追う。はたして「結婚」は男を幸せにするのか――。

「「婚迷時代」の男たち」

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