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日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ

IBMとアップルの提携は本当に“世紀のコラボ”か?
アップルのDNAをダメにする「普通化」という病

松本晋一 [株式会社O2/株式会社XrossVate/株式会社安田製作所代表取締役]
【第13回】 2014年7月30日
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協奏曲か、はたまた狂想曲か?
IBMとの提携を決めたアップルの成算

 先日発表されたアップルとIBMの提携は、協奏曲となるのか。はたまた、狂想曲となるのか。

 IBMとアップルの提携に関して、アップルのティム・クックCEOはこう語った。

 「1984年当時、われわれはライバルだったが、2014年の今、これ以上に互いを補い合える企業は他にないと思う。実に画期的な合意だ」

 ティム・クックが語った「84年当時」 とは、アップルがスーパーボールのハーフタイム中にたった一度だけ流したCMを念頭に置いていると見られる。それは、「ブレードランナー」のリドリー・スコットを監督に起用し、ジョージ・オーウェルの小説「1984」 をモチーフにしている。マッキントッシュのTシャツを着た女性がハンマーを持ちながら登場し、ビッグブラザーから囚人のごとく管理されている一般市民を解放するというストーリーだ。

 最後に、こんなメッセージが流れる。

 「1月24日 アップルコンピュータは、マッキントッシュを世に送り出す。あなたは1984年が、あの“1984”のようにはならないことを知るでしょう」

 当時のコンピュータは、「alt + shift + F4 」など難しいコマンドを入力しなければならなかった。専門知識を学んだ一部の人しか使えない代物だった。しかも、高価で大型のものが主流だ。その利便性は、政府や一部の大企業に独占されていた。

 このとき28歳の若さだったスティーブ・ジョブズは、その壁を打ち破りかたかった。まさに、ビッグブルーことIBMが支配する前近代的なコンピュータ業界に殴り込みをかけ、コンピュータを一般市民でも使えるよう、革命を起こそうとした。技術で世界を変えようとしたのだ。その意気込みをCMでセンセーショナルに表現したのである。

 そう、ジョブズは公の電波を使ってIBMにケンカを売ったのだ。そのIBMとアップルが、足もとで手を組もうとしている。

 もしもジョブズがまだCEOであったならば、この提携はあり得たか。むろん、答えは「ノー」だ。アップルは全て自分たちでやらないと気が済まない会社だ。一見するとアップルは水平分業型に見えるが、それは外面だけで、実態は超垂直型の事業モデルなのである。

 では、この提携の勝者は誰か。それはIBMだ。今回の提携において、IBMは得るものが多いが失うものはほとんどない。一方アップルは、短期的には得るものもあるが、長期的にみれば失うものの方が大きい。

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松本晋一 [株式会社O2/株式会社XrossVate/株式会社安田製作所代表取締役]

株式会社O2(オーツー)株式会社XrossVate(クロスベイト)株式会社安田製作所代表取締役。1970年生まれ。千葉県出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。大手化学メーカー、外資系ITベンダーのディレクター、コンサルティングファームのディレクターなどを経て、2004年株式会社O2を設立、代表取締役就任。2013年に新会社XrossVateを設立。2014年に射出成型用金型メーカ株式会社安田製作所に出資を行い経営参画。


日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ

日本の製造業は危機に瀕していると言われて久しい。様々な業界関係者が口にする「日本企業は技術で勝っても事業で負けている」という言い訳は、本当に正しいのか。実は、日本のゲンバにはもっと根深い本質的な課題がありそうだ。日本企業の5重苦、7重苦の原因は、日本の技術力の低下そのものにあり、その原因は大きく「技術伝承」の放置と悪い意味での「部分最適思考」の2つにある。製造業を中心に大手企業のコンサルティング業務を手がけ、企業のゲンバと深い付き合いを続けてきた株式会社O2(オーツ―)の松本晋一代表取締役が、“超高速すり合わせ型”モノづくりの極意を説く。

「日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ」

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